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[2023年04月12日] 第56回日本女子ソフトボールリーグ サファイアセクション展望

 第56回日本女子ソフトボールリーグ
 サファイアセクション展望


 「第56回日本女子ソフトボールリーグ」の開幕が今週末、4月15日(土)に迫った(石川県金沢市・金沢市専光寺ソフトボール場で4月15日(土)・16日(日)の両日、開催される)。ここでは今シーズンの「サファイアセクション」の戦いを展望し、第1節の「見どころ」をお伝えする。

【サファイアセクション】
靜甲:   前年度2位  
Citrine Ichinomiya:   前年度4位  
YKK:   前年度5位  
平林金属 Peachblossoms:   前年度7位  
小泉病院 Blue Arrows:   前年度10位  
ルネス紅葉スポーツ柔整専門学校:   前年度12位  


 靜甲:前年度2位
 昨シーズン、「サファイアセクション」1位、両セクション1位・2位が「日本リーグ優勝」をかけて戦った「順位決定節」Aブロックでは、3チームが2勝1敗で並ぶ「大混戦」のリーグ戦を「得失点差の」争いの末、2位で「優勝決定戦」進出。大和電機工業と「日本リーグ優勝」をかけ、戦ったが、延長タイブレークの「死闘」の末、2-3で敗れ、準優勝。最後、「同点か!?」と思われたランナーが三塁を回ったところで勢い余って転倒。タッチアウトで試合終了となった「まさか……」の幕切れは今も鮮烈な印象を残す。
 大和電機工業には、「第62回全日本実業団女子選手権大会」(2022.7.23~24/埼玉県毛呂山町)の決勝でコールド勝ちしており、「順位決定節」
ブロックのリーグ戦でも2-0の完封勝利を収めていただけに「勝てる!」と期待が高まり、「日本リーグ制覇」は目の前まで来ているように見えたのだが……。
 「今年こそ!」と意気込む靜甲だが、チームを「主力」として支えてきた中尾萌、本間睦、田沼華乃、鹿目真実、八鍬あゆみが抜け、「世代交代」「チーム再編」の時期を迎えている。
 ただ、投手陣は山本すみれ(6勝2敗、防御率0.83)、豊田彩乃(3勝0敗、防御率0.50)の「Wエース」が健在。この「二枚看板」が靜甲の「絶対的な強み」となることは間違いない。
 問題は「主力」の抜けた打線だろう。「キャプテン」としてチームをまとめ、引っ張った鹿目真実。強打の捕手として文字通りチームを支えた中尾萌。右のスラッガー・本間睦、田沼華乃。バランスの取れた攻守走で時にチャンスを作り、またある時には「つなぎ役」となってくれた八鍬あゆみ。これだけのメンバーが抜けてしまってはチームの立て直しは容易ではない。ただ……「後継者」は確実に育っている。昨シーズン、「ルーキーイヤー」に打率3割6分・本塁打2・打点9の活躍を見せ、「優秀選手」に輝いた井上葉菜、俊足・好打、打率3割7分5厘・打点2、5盗塁を記録し、同じく「優秀選手」となった田村ひかりら「新しい力」が芽吹きつつある。
 第1節では、初戦でYKK、2戦目でルネス紅葉スポーツ柔整専門学校と対戦する。YKKとは昨シーズン「交流節」で対戦し、延長タイブレークの末、3-4で敗れている。ルネス紅葉スポーツ柔整専門学校とは、「交流節」で対戦予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響でルネス紅葉スポーツ柔整専門学校が「交流節」への出場を辞退したため、対戦が実現せず、靜甲の「不戦勝」という結果が残っている。
 まず初戦をしっかりとモノにすることができれば、「開幕連勝」のスタートも見えてくる。大石麻里奈、宮坂佑希を中心とするYKK打線を、山本すみれ、豊田彩乃の「Wエース」が抑え込むような試合展開に持ち込むことができれば「理想的」な試合展開となる。続くルネス紅葉スポーツ柔整専門学校との対戦では、逆に井上葉菜、田村ひかりら打線の活躍に期待したいところか。
 まずは投手陣が辛抱強くチームを支え、打線の成長・成熟を待つ「時間」がほしいところだ。念願の「日本リーグ制覇」を実現するには、投手陣の踏ん張りが必要不可欠で、打線がそれに応えることができれば「頂点」は自ずと見えてくる。山崎奈美佳「新監督」の手腕にも期待しよう!

前年度2位:靜甲


 Citrine Ichinomiya:前年度4位
 昨シーズン、大混戦となった「サファイアセクション」で2位に滑り込んだCitrine Ichinomiya。ただ……両セクションの1位・2位による「優勝」をかけた「順位決定節」ブロックではリーグ戦3連敗。「3位決定戦」でもMORI ALL WAVE KANOYAに0-3の完封負けを喫し、上位チームの中での「差」を見せつけられる結果となった。
 投手陣は、昨シーズン3勝3敗ながら防御率0点台(0.72)と安定感抜群の「エース」松本菜摘が健在。同じく3勝(2敗、防御率2.26)を挙げた山下紗季のさらなる成長にも期待したいところだ。
 問題はチーム打率2割2分2厘(サファイアセクション6チーム中5位)、総得点20(同6チーム中最下位)と低迷した打線。深刻な打撃不振に陥り、得点力不足に泣かされるケースが多々あった。打率3割5分7厘・打点5の活躍を見せた船山優果を中心に、打率3割を超えるアベレージを残した仁科芽惟(打率3割8厘・打点2)、パンチ力のある林佑奈(打率2割3分5厘・本塁打1・打点3)、森光眞子(打率1割8分8厘・打点1)あたりが「覚醒」してくれれば「明るい兆し」が見えてくる。
 第1節では、初戦で小泉病院 Blue Arrows、第2戦で平林金属 Peachblossomsとの対戦が組まれた。小泉病院 Blue Arrowsとは昨シーズン、0-1、1-0と1点が勝負を分ける息詰まる投手戦を演じて星を分け合っている。平林金属 Peachblossomsとは1-5、3-0とこちらも1勝1敗「五分の星」となっている。
 「エース」松本菜摘のピッチングに計算が立つだけに、やはり「先取点」がほしいところ。早目の打線の援護があれば試合展開が楽になる。いずれにしろ僅差の白熱したゲームになることは間違いなさそうだ。

前年度4位:Citrine Ichinomiya


 YKK:前年度5位
 YKKは昨シーズン、「プラチナセクション」5勝8敗の4位。「順位決定節」の両セクション3位・4位チームによる「Bブロック」のリーグ戦では2勝1敗の2位で「5位決定戦」に駒を進め、花王コスメ小田原 フェニックスに2-0の完封勝利。5位の座を勝ち獲った。
 投手陣は5勝(3敗)を挙げた市六有那が中心。ただし、防御率は2点台後半(2.75)と「優勝争い」に絡んでいくには、さらなるレベルアップ、成長が必要か。打撃面で打率4割・本塁打4・13打点を挙げた大内麻里奈の「投打二刀流」を模索しているが、昨シーズンの結果(0勝2敗、防御率11.20)を見る限り、「現実」は厳しい。「順位決定節」での5位確保も市六有那が4試合すべてに登板し、3勝を挙げ、勝ち獲ったものであることを考えると、やはり「エース」の右腕に期待するしかないのが現状だ。
 打線は前述の活躍で「優秀選手」に輝いた大内麻里奈、打率3割4分4厘・本塁打3・打点6の宮坂佑希を中心に、チームの「得点源」となっている本田理紗(打率3割・本塁打1・打点10)、放った安打8本のうち半分が長打(三塁打2本・二塁打2本)の東郷佑実(打率2割5分・打点7)らが脇を固めている。
 第1節では、初戦が靜甲、第2戦が小泉病院 Blue Arrowsと「上位争い」を演じると見られる「ライバル」との直接対決がいきなり組まれている。
 靜甲とは昨シーズン、「交流節」で対戦し、延長タイブレークの末、4-3と競り勝っている。小泉病院 Blue Arrowsとは昨シーズン対戦がなく、日本リーグ「初対戦」となる。
 初戦の靜甲戦に勝てば、一気に上位争い、首位戦線にも絡む展開となり、今後に向けての「期待」が膨らむ。さらに小泉病院 Blue Arrowsにも勝って「開幕連勝」ということにでもなれば……一気にその先の視界が開けてくる。
 逆に言えば、それだけ「重要な試合」であり、その勝敗によって、シーズンの行方が左右されかねない「ターニングポイント」がいきなりやってくる。ただ……この第1節、「開幕」の滑り出しに成功すれば……一気に上位進出も夢ではない!

前年度5位:YKK


 平林金属 Peachblossoms:前年度7位
 昨シーズン、「サファイアセクション」で6勝7敗の4位。最後まで上位争いに食らいつきはしたが……あと一歩及ばず、両セクション3位・4位チームによる「順位決定節」Bブロックでは、リーグ戦1勝2敗と振るわなかったものの、「7位決定戦」でVONDS市原に8-0と完勝。順位を逆転させ、最終順位7位となった。
 ただ……昨シーズン限りで「優秀選手」を置き土産に川渕真由、松口明日香が現役引退。「投打二刀流」チームを支えてきた中村絢夏、ジュニア時代に「日本代表」の経験を有する弦田彩加をはじめ、大坪真子、田畑まなみ、柏坂恵美もチームを去り、6人の新人選手が加入するという大幅な入れ替えがあった。
 投手陣は、昨年に続き、「キャプテン」を務める橋口紫織(1勝2敗、防御率5.42)、「エース」として期待される岡﨑栞菜(3勝1敗、防御率1.74)が中心。昨シーズンは「策士策に溺れる」ではないが、継投に頼りながら継投がうまくいかない……という「悪循環」に陥る場面もあり、岡﨑栞菜を「エース」として投手陣の「柱」に据えれば、投手起用に迷う必要はなくなる。誰がエースで、誰を頼りにしているのか……が見えない状況で、チーム全体が迷走していた感があるだけに、むしろ迷う選択肢が少なくなることが好結果につながることは十分にあり得る。
 打線は「優秀選手」に輝いた川渕真由(サファイアセクション打撃ランキング1位の打率4割8分7厘・打点8)、松口明日香(打率3割7分9厘・打点2)が抜けた穴は確かに大きいが、いずれも規定打席には到達していないものの、「一発長打」を秘めた打撃が魅力の窪田夢真(打率2割9分4厘・本塁打1・打点2)、打率4割2分9厘の非凡な数字を残している森香央理、豪快なプレースタイルで打席に入るだけで「何かが起こる」予感を感じさせる植村華(打率3割・打点1)、明るいキャラクターで「扇の要」キャッチャーとしてチームを引っ張る片山瑠奈(打率3割・打点2)ら、まだまだ「成長」が見込める選手は多く「期待値」は高い。
 第1節では、初戦でルネス紅葉スポーツ柔整専門学校、第2戦でCitrine Ichinomiyaと対戦する。初戦に勝って「勢い」をつけ、上位を争うと見られる「ライバル」 Citrine Ichinomiyaとの対戦に「いい形」で臨みたいところだ。
 昨シーズン、ルネス紅葉スポーツ柔整専門学校とは「交流節」で対戦予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響で「ルネス紅葉スポーツ柔整専門学校が出場辞退。対戦は実現せず、平林金属 Peachblossomsの「不戦勝」となった。Citrine Ichinomiyaとは5-1、0-3の1勝1敗。昨シーズンの「第1節」で対戦したときのように、投打が噛み合う「理想的な展開」に持ち込めればいいのだが。「第4節」での対戦も0-0で延長タイブレークにもつれ込む試合展開で「勝機」がなかったわけではない。それだけに……「開幕連勝」のスタートを切れれば、日本リーグに平林金属 Peachblossoms旋風が吹き荒れることになるかもしれない⁉

前年度7位:平林金属 Peachblossoms


 小泉病院 Blue Arrows:昨年度10位
 昨シーズン、「サファイアセクション」6勝7敗の5位。「交流節」終了時点では5勝3敗の2位につけながら第3節が新型コロナウイルス感染症の影響で無念の出場辞退。ここでの「不戦敗」による2敗が響き、最後まで上位争いを演じたものの、結局5位まで順位を落としてしまった。両セクション5位・6位チームによる「順位決定節」Cブロックでも、リーグ戦では3戦全勝、強さを見せつけながら、最終戦となった「9位決定戦」で厚木SCに延長タイブレークの「熱戦」の末、2-3の逆転サヨナラ負けを喫し、10位に終わるという「運」に見放されたようなシーズンだった。
 今シーズンは「エース」原田悠(5勝5敗、防御率1.67)、左腕・玉田彩音(1勝0敗、防御率0.64)の実績のある二人を中心に、和田楓花(松本大)、山口愛実(中国学園大)、川村まつり(IPU・環太平洋大)の「大卒トリオ」がどこまで戦力となれるかに期待と注目が集まる。
 打線は山下りら(打率3割4分4厘・本塁打1・打点5)という「ビッグネーム」が抜け、日浦安奈(打率3割1分4厘・本塁打1・打点6)も現役引退。この「穴」をどう埋めていくかが大きな課題となる。打率3割4分6厘・打点2の立川夏波、チームの「得点源」になっている上田爽樺(打率3割3分3厘・打点8)、今シーズン「キャプテン」になり、秘めた「高いポテンシャル」の覚醒・発揮が期待される佐々木彩葉(打率1割3分6厘)がチームを引っ張る形を作ってくれるといいのだが。
 第1節は、初戦でCitrine Ichinomiya、第2戦でYKKとの対戦が組まれている。 Citrine Ichinomiyaとは昨シーズン1勝1敗(1-0,0-1)。YKKとは昨シーズン対戦がなく、日本リーグ初対戦となる。Citrine Ichinomiyaとの対戦は両チームのエース同士の投げ合いとなることが予想され、どちからが勝つにしても1点を争う好ゲームとなりそうだ。YKK戦は大内麻里奈、宮坂佑希ら好打者が揃う打線をいかに封じるか、逆にYKK投手陣を小泉病院 Blue Arrows打線が打ち崩すことができるかが「焦点」となる。今シーズンは「運」も味方につけ、「開幕ダッシュ」で上位戦線に割り込んでいきたいところだ。

前年度10位:小泉病院 Blue Arrows


 ルネス紅葉スポーツ柔整専門学校:昨年度12位
 昨シーズン、「プラチナセクション」2勝11敗で最下位に終わったルネス紅葉スポーツ柔整専門学校。5位・6位による「順位決定節」ブロックのリーグ戦ではペヤングを3-0の完封で破り、「最下位脱出」に期待がかかったが、肝心の「11位決定戦」では投手陣が打ち込まれ、2-11と大敗。結局、テールエンドに終わっている。
 「専門学校」というチーム事情もあり、今シーズンも9名の選手がチームを去り、14名の「新入生」を迎えている。
 投手陣から「エース」として活躍し、第4節・ペヤング戦で完投勝利を挙げ、「順位決定節」Cブロック・リーグ戦のペヤング戦でも勝利投手となった我妻美思(1勝5敗、防御率7.00)の抜けた穴は大きく、「エース不在」の状態。ある程度登板経験のあった原田真衣(0勝2敗、防御率11.20)、大野日菜(0勝1敗、防御率4.20)も「卒業」してしまったとなると、あとは投球回数一桁の鈴木彩希、髙木優月、植田七菜の中から「エース」を育てるか、「ルーキー」の小林美紅がチームの「救世主」となってくれるのを期待するしかない。いずれにせよ「未知数」な状態だが、この中から「真のエース」となるようなピッチャーが出てきてくれることを期待しよう。
 打線も昨シーズンはチーム打率1割4分7厘・総得点9(いずれもプラチナセクション6チーム中最下位)と振るわなかったが、チーム「唯一」の本塁打を放った内藤さくら(打率2割2分2厘・本塁打1・打点2)、チームトップの打率を残した鳥居早稀(打率2割7分3厘、放った安打6本のうち半分の3本が長打(三塁打1本・二塁打2本)を放つ)、打率こそ低いものの、チームトップの3打点を挙げた菊池七海(打率7分7厘・打点3)らが健在。昨シーズンの「経験」に裏付けされた「成長」は十分に見込めるはず。昨シーズンは新型コロナウイルス感染症の影響で「出場辞退」を余儀なくされた節もある等、「不運」もあった。「学生らしく」若さ溢れ、ハツラツとしたプレーで、日本リーグを沸かせてほしいものである。
 第1節は、初戦で平林金属 Peachblossoms、2戦目に靜甲との対戦が組まれている。この2チームとは「交流節」で対戦する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響で「交流節」の出場を見合わせることとなり、無念の「不戦敗」となっている。第1節では、その「無念」を晴らすべく、チーム一丸となり、気持ちのこもった戦いを見せてくれることを期待したい。

前年度12位:ルネス紅葉スポーツ柔整専門学校


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