[2014年11月01日] 第47回日本女子ソフトボールリーグ1部決勝トーナメントの見どころツイート 2014.10.31 第47回日本女子ソフトボールリーグ1部決勝トーナメントの見どころ 充実した戦力、分厚い選手層で王座奪還を狙うトヨタ自動車 「ルネサス」としてのラストイヤー。 「有終の美」を飾りたい、ルネサスエレクトロニクス高崎 今、もっとも「勢いのあるチーム」太陽誘電。 決勝トーナメント制導入後、初の優勝なるか?! 「名門復活」なるか?! 7年ぶりの優勝を狙う豊田自動織機 太陽誘電、決勝トーナメント進出の立役者・藤田倭。 「新たなスター」の出現と「新たな時代」の到来に期待! 11月15日(土)/第1試合 リーグ1位 vs リーグ2位 トヨタ自動車 ルネサスエレクトロニクス高崎 決勝トーナメントは、ソフトボール独特の「ページシステム」で行われるため、リーグ1位・2位のチームには、一度敗れても「敗者復活戦」に回る「アドバンテージ」がある。 しかし、決勝トーナメント制が導入された1999年以降(1994~1998年は12チームを2セクションに分け、セクション内2回総当たり、両セクションの交流戦1回総当たりの1シーズン16試合制で実施されていたため、現行のリーグとは試合数・試合方式が異なるため、対象から除外)、1位のチームがストレートで優勝まで登り詰めたケースが15回中8回あり、2位のチームが優勝したのは4回、3位チームが優勝したのが2回。いまだ4位チームが勝ち上がったケースは1例もない。 また、1位チームが敗者復活戦に回って優勝したケースは一昨年のトヨタ自動車の1例のみで、2位のチームが敗者復活戦に回り、優勝に至ったケースも2例しかなく、「敗者復活」の恩恵に授かったチームは意外と少ない。 2年ぶりの「王座奪還」をめざすトヨタ自動車、「連覇」を狙うルネサスエレクトロニクス高崎、ともにモニカ・アボット、上野由岐子という「世界屈指の好投手」を擁し、昨シーズンまで3年連続で「決勝」で顔を合わせているチームだけに、1点を争う好ゲームとなることは必至。一瞬たりとも目を離すことのできない緊迫した試合となることが予想される。 ただ、ルネサスエレクトロニクス高崎の「エース」上野由岐子のコンディションがどこまで戻っているかが、勝負を分ける「カギ」となりそうだ。 開幕節では、トヨタ自動車の「絶対的エース」モニカ・アボットから、山本優、大工谷真波が本塁打を放ち、3-2でルネサスエレクトロニクス高崎が勝利を飾り、第8節での対戦では、ルネサスエレクトロニクス高崎が「エース」上野由岐子の登板を回避したこともあり、トヨタ自動車が6-0で完勝している。 どちらにしても、両エースから、どちらが先に点を取るかが、「焦点」となることは間違いない。 今夏の世界選手権で「連覇」、アジア大会で4大会連続の金メダルを獲得した「日本代表」同士の対戦にも注目したい。世界選手権、アジア大会では「ここぞ!」というところで必ずといっていいほど快打を連発してきた坂元令奈が、今度は「上野由岐子に「敵」として対峙し、どう攻略するのか。今シーズンの日本リーグで打点王を獲得し、その「勝負強さ」を数字でも立証して見せたクラッチヒッターが、「世界のエース」相手にどんなバッティングを見せるか注目が集まる。その坂元令奈と熾烈な打点王争いを演じた、次世代の日本代表の「顔」となることを期待される「若き天才打者」長崎望未にも注目。打率もリーグ4位、「一発」で勝負を決めることもできる「マルチヒッター」の一打で「新たな時代」の扉を開き、「世代交代」を実現させることになるのか、このあたりも「必見」のポイントだ。 日本リーグ新記録となる5割2分4厘という驚異的なハイアベレージを残した鈴木美加の存在もルネサスエレクトロニクス高崎にとっては脅威となる。今、ノリにノッている打者だけに、試合を決める一打、勝負を分ける一振りが、鈴木美加のバットから放たれる可能性は十分にある。それ以外にも、右打者では一発のある山崎早紀、昨シーズン新人賞を獲得した知久幸未、左打者では、昨年の世界女子ジュニア選手権で「世界一」となったメンバーで「売り出し中」の山下りら、未だ衰えることなく、輝きを放ち続けているアテネオリンピックの金メダリスト・ナターシャ・ワトリーら「豪華な布陣」が揃っている。 一方、世界選手権では対戦のかなわなかった「宿敵・アメリカ」の「エース」であるべきモニカ・アボットを、「日本代表」の「切り込み隊長」山本優、「攻守の要」峰幸代、「必殺仕事人」大久保美紗、「意外性」の森さやからが打ち込み、「真の世界一」であることを証明することができるのか。まさに「世界最高レベル」の戦いとなることは間違いない。 トヨタ自動車の「王座奪還」なるか、はたまた「ルネサスエレクトロニクス」ラストイヤーに「有終の美」を飾るのか、興味は尽きない。 11月15日(土)/第2試合 リーグ3位 vs リーグ4位 太陽誘電 豊田自動織機 藤田倭、尾崎望良の「ダブルエンジン」をチームの中心に据える太陽誘電と、「剛腕」ケイラニ・リケッツを擁し、多士済々、豊富なタレントを抱える豊田自動織機の対戦は、今シーズン、レギュラーシーズンでは太陽誘電が連勝している。 第2節の対戦では、「チームリーダー」河野美里の本塁打や「ダブルエンジン」尾崎望良、藤田倭をフル活用。先発・尾崎望良、DP・藤田倭を状況に応じて投手の守備を兼務させ、OPO(打撃専門選手)とするなど、その特徴・能力のすべてを引き出す選手起用で豊田自動織機を翻弄。太陽誘電が3-2で競り勝っている。 第6節の対戦では、今度は先発・藤田倭で尾崎望良につなぎ、最後は藤田倭が締める投手リレー。1点を先制されながら終盤追いつき、延長8回タイブレーカーの末、2-1のサヨナラ勝ち。連勝を飾っている。 この試合も両チーム投手力が安定しており、ロースコアの1点を争う勝負となりそうだ。とりわけ「剛腕」ケイラニ・リケッツと「驚異の二刀流」藤田倭の「力勝負」は見逃せない。「バッティングは好きじゃない」と公言する藤田倭だが、そのスイングの速さ、とんでもない飛距離は日本人離れしたものがある。その豪快なバッティングは一見の価値あり。 太陽誘電には、今や「日本代表」の押しも押されぬ「中心打者」に成長した河野美里、小柄ながらパワフルなバッティングが持ち味の「キャプテン」佐藤みなみもおり、今、もっとも「勢いのあるチーム」であるといえよう。 日本リーグの優勝は1993年まで遡らねばならないし、決勝トーナメント制が導入されてからは、1995年・1996年の決勝進出、準優勝があるだけで優勝がない。久々の日本リーグ制覇へ……期待が膨らむ。 一方、21年連続の決勝トーナメント進出を果たした豊田自動織機も、今シーズンは「やっと滑り込んだ」感は否めない。多彩なタレントを揃え、選手層の厚さではトヨタ自動車に並ぶものがあるのだが……「チーム」としての完成度や鍛えられ方に「差」を感じてしまう。常に決勝トーナメントで「主役」を演じ、8回の優勝を飾ってきたチームとは思えないようなミスが目立ったシーズンでもあった。 ただ、選手個々の潜在能力は高いものがある。北京オリンピック金メダリストであり、チームの「リードオフマン」として活躍する狩野亜由美、打線のつなぎ役として、ときには勝負を決める一打を放つ洲鎌夏子、攻守にわたり、安定したプレーを見せる中森菜摘、勝負どころで存在感を発揮する「くせ者」横野涼など、個性的で多士済々な顔ぶれが揃っている。「最後の決戦」の舞台で一気にチームがまとまれば、2007年以来遠ざかっている「リーグ制覇」も十分に可能だ。 勢いがあり、ノリにノッている太陽誘電が、「新たな時代」を築く足がかりをつかむか、それとも21年連続決勝トーナメント進出の「名門」が「伝統の力」を見せるのか、その戦いに注目が集まる。