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[2014年05月26日] 第47回 日本女子ソフトボール1部リーグ 第4節 トヨタ自動車、1敗を堅持し、単独首位に立つ!

 
2014.5.26
 

 

第47回 日本女子ソフトボール1部リーグ 第4節

トヨタ自動車、1敗を堅持し、単独首位に立つ!


 
北京オリンピックで「金メダル」を獲得した齋藤春香
ヘッドコーチの名前にちなんで球場名が命名された
 
  地元の英雄・齋藤春香氏は、大会運営に携わる傍ら
地元ラジオの実況中継、ソフトボール教室にと大活躍
 

 
野球・ソフトボールの普及・振興に力を入れる弘前市。
葛西憲之弘前市長が駆けつけ、始球式を行ってくれた
 
  ルネサスエレクトロニクス高崎を破ったHonda。4回裏、
本塁打を放った芝﨑恵梨とケイリー・ラフターが歓喜の抱擁
 

 
トヨタ自動車は今節も連勝し、8勝1敗で単独首位に立った
 

 
太陽誘電は敗れたとはいえ、「挑戦者」らしい戦いを見せた
 

 
日立は伊予銀行に大勝したものの、トヨタ自動車に敗れ、
今節1勝1敗。通算5勝4敗と一進一退の状況が続く……
 

 
2勝7敗で11位の伊予銀行。毎試合、沸かせる場面は作るのだが
 

 
デンソーは地元・刈谷で連勝し、通算7勝2敗の同率2位に浮上!
 

 
豊田自動織機も地元で連勝し、通算5勝4敗と白星を先行させた
 

 
通算3勝6敗の戸田中央総合病院。上位争いからは大きく後退
 

 
開幕3連勝の後、6連敗のシオノギ製薬。懸命の戦いを続けているが
 

 
第5節は前半戦の折り返し地点。まだまだ激しい戦いが続いていく……
 
 
 


 第47回日本女子ソフトボール1部リーグ第4節が、5月24日(土)・25日(日)の両日、青森県弘前市、茨城県常陸大宮市、愛知県刈谷市の3会場で開催された。
 前節まで、ルネサスエレクトロニクス高崎、トヨタ自動車の両チームが6勝1敗で同率首位に並んでいたが、今節、トヨタ自動車が連勝で1敗を堅持したのに対し、ルネサスエレクトロニクス高崎は、「エース」上野由岐子を投入しながら、Honda戦に0-2の完封負け。2敗目を喫し、2位に後退。通算7勝2敗でデンソーと並んだ。
 これを6勝3敗の太陽誘電、5勝4敗で並ぶ豊田自動織機、日立、Hondaが追う形となっており、順位争いはますます混迷の度合いを増し、激化しそうな気配だ。

【青森大会】
 青森大会は、青森県弘前市・はるか夢球場を会場に開催された。この青森大会の試合会場となった「はるか夢球場」は、2008年の北京オリンピックで女子日本代表を率い、悲願の金メダル獲得を実現させた齋藤春香ヘッドコーチの名前「春香(はるか)」にちなんで命名されたもので、現在、自らの故郷である青森県弘前市でソフトボールの普及・振興に尽力している。
 この大会でも、大会運営スタッフとして奔走する一方、地元ラジオ局の実況放送の解説を務めたり、試合終了後にソフトボール教室の講師として指導に当たったりと、引っ張りだこの様子。地元・弘前が生んだ「英雄」とあって、抜群の人気と知名度を誇り、そのネームバリューがあるからこその活動を展開していた。
 また、葛西憲之弘前市長が始球式に駆けつける等、市全体で野球・ソフトボールを盛り上げていこうという決意と機運が感じられた。
 この青森大会には、6勝1敗で同率首位に並ぶルネサスエレクトロニクス高崎、ここまで3勝4敗のHonda、2勝5敗のSGホールディングスグループ、未だ勝ち星のないペヤングの4チームが熱戦を展開した。

 初日、第1試合はHondaとペヤングが対戦。Hondaが3回表、4番・森山遥菜がツーランホームランを放ち、先手を取ると、続く4回表には、7番・胡子路代の三塁強襲のツーベースから追加点をチャンスをつかみ、二死後、1番・小川絵里加のピッチャー強襲安打で1点を追加。6回表には、2番・芝﨑恵梨のツーランホームランなどで3点を加え、7回表にも、4番・森山遥菜、5番・ケイリー・ラフター、6番・又吉薫の3連続長短打などで2点を追加。13安打で8点を奪い、8-2で快勝した。

 ペヤングはこの試合、序盤は投手陣が踏ん張り、打線も初回に二死二・三塁の先制のチャンスを作ったものの、あと一本が出ず、3回表に先取点を奪われると、後はズルズルと失点し、開幕から続く連敗は「8」となってしまった。

 連覇を狙う王者・ルネサスエレクトロニクス高崎は、第2試合でSGホールディングスグループと対戦。初回、四球、送りバントなどで二死二塁の先制機をつかむと、4番・峰幸代がレフトオーバーのツーベースを放ち、まず1点を先制。さらに5番・森さやかが二遊間を破る安打を放ち、一・三塁と攻め立て、6番・中野久美が三遊間を破るタイムリー。幸先よく2点を先制し、試合の主導権を握った。
 守っては、先発に起用された中野花菜が4回を被安打3・無失点の好投で試合を作り、黒川春華、濱村ゆかりとつなぐ投手リレーでSGホールディングスグループ打線に最後まで得点を許さず、2-0の完封勝利を収めた。

 2日目、第1試合はSGホールディングスグループとペヤングが対戦。先攻のSGホールディングスグループは、トップバッターとして起用している「世界最強の右のスラッガー」ステーシー・ポーターが、打った瞬間ホームランとわかる文句なしの先頭打者本塁打を放ち、わずか2球で先制すると、続く2回表の打席でも2打席連続となるホームランを放つなど3安打・4打点の大活躍。この活躍で勢いづいた打線は5本の本塁打を含む9安打・10得点と打ちまくり、ペヤング投手陣を粉砕。日頃、得点力不足に悩む姿が嘘のように二桁得点を挙げ、10-0と大勝し、通算成績を3勝6敗とした。

 敗れたペヤングは、この試合でも投手陣が打ち込まれ、序盤で大量失点。「世界最高峰のリーグ」「世界最高レベルのリーグ」といわれるこのレベルで通用するピッチャーが見当たらず、どのピッチャーを起用しても序盤で大量点を奪われてしまい、勝機を見出すのは難しい状況にある。

 1部昇格初年度の昨シーズンも決して恵まれた戦力ではなかったが、7勝を挙げる健闘を見せた。ただ、その「激闘」を戦い抜いた多くの「ベテラン」が抜け、大幅なメンバーの入れ替えを強いられた時点で、ある程度この結果は見えていたともいえるが……。もう一度「原点」に返り、走・攻・守すべてを見つめ直し、「再出発」するぐらいの気持ちを持たないと、この連敗の泥沼を抜け出すことはできそうにない。

 第2試合では、ルネサスエレクトロニクス高崎とHondaが対戦。ルネサスエレクトロニクス高崎が「世界のエース」上野由岐子を先発に立てれば、Hondaも「エース」モーガン・メローを投入し、真っ向勝負に出た。
 まずこの先発起用に燃えたモーガン・メローが気迫溢れるピッチングを展開。「世界のエース」上野由岐子を上回る内容のピッチングを見せ、チームの士気を鼓舞すれば、3回裏、打線も「エース」の力投に応えるように「難敵」上野由岐子を臆することなく攻め、7番・胡子路代がスラップで綺麗に三遊間を破り、出塁。次打者が送れず、嫌な雰囲気になりかけたが、9番・加藤恵理の2球目に一塁走者が盗塁成功。その加藤恵理のサードゴロの間に、二塁走者が三塁を狙い、二塁走者と三塁ベースカバーに入ったショート・柳井春菜がベース上で交錯。ファーストから転送された送球が走者に当たって跳ね、レフトファウルグラウンド上空を漂い、フェンスギリギリでカバーに入ったレフト・中野久美がそのボールをつかんだときには走者はホームを踏んでいた。

 1点を先制したHondaは、続く4回裏、この回先頭の2番・芝﨑恵梨が上野由岐子が投じた高めのライズボールをとらえ、ライトスタンドへ弾丸ライナーでぶち込むソロホームラン。先発・モーガン・メローが灯した「勇気の炎」が、一人ひとりの力で少しずつ大きく燃えさかり、チーム全体を包む炎となって「難攻不落」の好投手・上野由岐子を攻略。王者・ルネサスエレクトロニクス高崎までをも焼き尽くす炎となって襲いかかった。

 2点のリードをもらった「エース」モーガン・メローは、ルネサスエレクトロニクス高崎の強力打線をわずか2安打に封じ、8三振を奪う力投。「王者」の前に立ちはだかり、見事な完封勝利を収めた。

 勝ったHondaは、通算5勝4敗。上位争いに踏み止まる大きな1勝を挙げた。前日のペヤング戦に「エース」モーガン・メローを先発させたときには、正直、「また下位チームにエースをぶつけて確実に勝ち、上位相手には無理をしない得意の戦法か」と思ったのだが……。連覇を狙う王者・ルネサスエレクトロニクス高崎を相手に「エース」起用の真っ向勝負。濱中武直監督の「決断」が「下剋上」の流れを作り、先発起用に燃えた「エース」が意気に感じて力投を見せた。

 攻撃陣も「世界のエース」相手に怯むことなく攻め、3回裏の先取点も、一死一塁からの盗塁は、推測ではあるが「単独スチール」ではなく、ヒットエンドランのサインであり、「空振り」になったことが結果的に幸いし、その後のサードゴロでの三塁進塁も、打順が1番に還ることを考えれば、セオリー的には、無理をして三塁を狙う必要のない場面だったかもしれない。

 しかし、自らが「攻める」「仕掛ける」という勇気と覚悟が「偶然」さえも味方につけて先取点を呼び込み、決してホームランバッターではない2番・芝﨑恵梨の見事な一発へとつながっていった気がする。世界を制した難攻不落の好投手・上野由岐子に逃げることなく、真正面から対峙し、「王者」を呑み込むほどの気迫を持って相手に挑む。この「姿勢」「心意気」こそが、今までのHondaに足りなかったものではなかったか。
 もちろん、いつもいつもこの試合のように「勇気」や「強気」がいい方向に転がるとは限らない。強引な攻めは時として墓穴を掘ることもある。ただ、リスクを冒してまでガムシャラに勝ちに行ったその姿に、「勝利の女神」が微笑んだのではないだろうか。

 一方、「王者」ルネサスエレクトロニクス高崎は、ここまで順調に勝ち星を重ねてきてはいたが、決して盤石な状態ではないことを露呈してしまった。
 「エース」上野由岐子は「温存」していたのでも「投げない」のでもなく、ベストの状態では「投げられない」状態にあったと判断すべきだろう。

 ここ3試合の登板を見る限り、いつもなら空振りさせていたボールが、バットに当てられ、ファウルにされてしまう。いつもなら少々甘く入っても打ち取れていたボールが、ヒットにされ、ホームランにされてしまう。少なくとも現状では、「万全」とは言い難い状態で、そこには「いつもの上野由岐子」の姿はなかった。
 連覇のかかる世界選手権、4大会連続の金メダル獲得が「至上命令」となるアジア大会、国際的なビッグイベントが控え、いつにない「超過密日程」を強いられる今シーズン。今後、どのようなピッチングを見せ、シーズンを乗り切っていくのか。その出来、内容が優勝争いの行方を左右することにもなる。 

【青森大会試合結果】
・第1日/5月24日(土)
 Honda 8-2 ペヤング
 ルネサスエレクトロニクス高崎 2-0 SGホールディングスグループ
・第2日/5月25日(日)
 SGホールディングスグループ 10−0 ペヤング
 Honda 2−0 ルネサスエレクトロニクス高崎



【茨城大会】
 茨城県常陸大宮市・大宮運動公園市民球場で開催された茨城大会には、常陸大宮市出身の女優であり、タレントの白石美帆さんが始球式を行い、大会前のセレモニーを華やかに彩った。
 茨城大会には、6勝1敗で同率首位に並ぶトヨタ自動車、5勝2敗でそれを追う太陽誘電、4勝3敗の日立、2勝5敗の伊予銀行の4チームが激しい戦いを繰り広げた。

 初日、第1試合では、ここまで6勝1敗で同率首位に並ぶトヨタ自動車と5勝2敗でそれを追う太陽誘電が対戦。太陽誘電・藤田倭、トヨタ自動車・モニカ・アボット両投手が息詰まる投手戦を展開した。

 太陽誘電は3回表、この回先頭の7番・遠山佑奈が三遊間を破る安打で出塁。代打・山城みなの送りバント失敗の後、9番・丸本里佳が左中間へ安打を放ち、一塁走者・遠山佑奈が一気に本塁を狙ったが、トヨタ自動車の堅い守りに阻まれ、本塁寸前タッチアウト。惜しくも先制はならなかった。

 対するトヨタ自動車は4回裏、2番・渥美万奈が四球を選び、すかさず代走・神山みどりを送ったが、離塁アウトを取られ、一死。その後、四球と2本の安打で満塁と攻め立てながら、後続が三振、ピッチャーゴロに抑えられ、無得点。絶好の先制機を逃した。5回裏、四球、ワイルドピッチ、送りバントで一死三塁のチャンスをつかみ、1番・ナターシャ・ワトリーが故意四球で歩かされると、すかさず二盗。二・三塁とチャンスを広げ、2番・渥美万奈のセカンドゴロで三塁走者が本塁突入を試みたが、三・本間に挟まれ、タッチアウト。二死となり、またしてもチャンスを逃したかに見えた。しかし、ここで3番・長﨑望未がワンストライクからの2球目をとらえ、ライトスタンドへ勝負を決めるスリーランホームラン。「若き天才打者」長﨑望未の一振りで3点のリードを奪った。
 守っては、「絶対的エース」モニカ・アボットが太陽誘電打線をわずか2安打に抑え、10三振を奪う力投。3-0の完封勝利を収め、通算成績を7勝1敗とし、同率首位の座を守った。

 太陽誘電は惜しくも敗れ、3敗目を喫したが、「挑戦者」らしく果敢に戦い、そして散った。3回表、一死一塁からワンヒットで一気に本塁を狙った走塁は、相手がモニカ・アボットであることを考えれば、「当然の選択」で、結局この回の2安打以外ヒットが出なかったという「結果論」ではなく、モニカ・アボットから連打できる確率より、この場面でイチかバチかで突っ込ませた方が得点の可能性が高い、という判断は間違いではなかった。
 強いていうなら、この場面で冷静かつ正確な連係プレーを見せたトヨタ自動車の堅い守りが一枚上であり、そこが「勝ち続けてきたチーム」の強みといえるだろう。

 惜しむらくは、その前の代打・山城みなの送りバント失敗で、ここでキチンと送れていれば、太陽誘電に先取点がもたらされていたかもしれない。もちろん、得点圏に走者が進んでいれば、当然トヨタ自動車バッテリーの攻め方も変わり、同じようにヒットが出ていたかどうかはわからないが、やるべきことをやらずして、勝利はないともいえよう。

 また、勝負を決めた5回裏の二死二・三塁の場面も「満塁策」という選択もあった。3番・長﨑望未、4番・鈴木美加、どちらも好打者であり、強打者であることに変わりはないが、両者のバッティングの「質」、現在の調子を考えると、この場面では天才的なバットコントロールを誇る長﨑望未の方に「恐さ」があり、一発はあってもやや粗さの残る鈴木美加の方が勝負しやすかったようにも思うが……。

 とはいえ、太陽誘電の「挑戦」は、「次」につながるものであり、痛い3敗目を喫したとはいえ、今後に期待を抱かせる試合内容であった。

 第2試合では、日立と伊予銀行が対戦。日立、自慢の「強力打線」が火を噴き、初回、4番・佐々木瞳の満塁ホームランで先制すると、その後も攻撃の手を緩めず、17安打と打ちまくり、伊予銀行を圧倒。13-0と大勝し、通算成績を5勝3敗とし、この時点で太陽誘電と並び4位に浮上した。

 2日目、第1試合では太陽誘電と伊予銀行が対戦。太陽誘電は初回、二死一・二塁から「驚異の二刀流」5番・藤田倭のタイムリーツーベースで2点を先制すると、4回表には、その藤田倭とともに投打に活躍する9番・尾﨑望良が左中間にソロホームランを放ち、1点を追加。6回裏に1点差まで詰め寄られたものの、7回表、5安打を集中し、ダメ押しの3点を追加。6-2で快勝し、通算成績を6勝3敗とし、4位につけた。

 敗れた伊予銀行は2勝7敗となり、11位に順位を下げ、「入替戦圏内」となってしまった。この試合でも6回裏、4番・矢野輝美、7番・加藤文恵に一発が飛び出すなど、毎試合、観客を沸かせる場面を作るのだが、あと一歩のところで勝利を逃すケースが多い。投手陣が踏ん張れば、打線には得点力もあり、勝機をつかむことができるはず。投手力の整備が急務だ。

 続く第2試合では、日立とトヨタ自動車が対戦。トヨタ自動車が4回裏、この試合、スターティングメンバーに起用された6番・山下りらのソロホームランで先制すると、6回裏にも、8番・小野真希が日立の息の根を止めるソロホームランをレフトスタンドに叩き込み、2点のリードを奪った。
 トヨタ自動車の「絶対的エース」モニカ・アボットは、日立の強力打線をわずか3安打に抑え込み、9三振を奪う力投。青森大会で、同率首位に並んでいたルネサスエレクトロニクス高崎がHondaに敗れたこともあり、通算8勝1敗で単独首位に立った。

 敗れた日立は5勝4敗。トヨタ自動車戦では、先発・小薗美希、リリーフした泉礼花ともに好投したが、勝負どころで「一発」を浴び、痛い敗戦。自慢の「強力打線」もモニカ・アボットが相手となると簡単には得点することはできない。決勝トーナメント進出を果たすには、このレベルの投手を相手にしたとき、どのように戦うのかがカギとなる。 

【茨城大会試合結果】
・第1日/5月24日(土)
 トヨタ自動車 3-0 太陽誘電
 日立 13-0 伊予銀行
・第2日/5月25日(日)
 太陽誘電 6−2 伊予銀行
 トヨタ自動車 2−0 日立



【刈谷大会】
 愛知県刈谷市・刈谷球場で開催された刈谷大会には、ここまで5勝2敗と好調なデンソー、3勝4敗と思うように星を伸ばせていない豊田自動織機、戸田中央総合病院、開幕3連勝の後、まさかの4連敗と苦しむシオノギ製薬の4チームが、決勝トーナメント進出圏内をめざし、「生き残り」をかけた熾烈な戦いを繰り広げた。 

 初日第1試合、デンソーとシオノギ製薬の一戦は、デンソーが2回表、4番・メーガン・ウィギンズのソロホームラン、7番・伊藤綾香の犠牲フライなどで2点を先制し、3回表には、9番・江口未来子が四球を選ぶと、すかさず盗塁。1番・増山由梨のタイムリーツーベースでまず1点を加え、敵失でさらに1点を追加。敵失の走者は盗塁失敗で一死となったが、3番・田中真紀子が四球で出塁すると、怯むことなく再び盗塁。二死後、5番・竹林綾香にもタイムリーツーベースが飛び出し、この回3点を追加。着々とリードを広げた。
 守っては、先発・近藤光が3回裏に1点を失ったものの、シオノギ製薬打線を4安打に抑え込み、1失点の完投勝ち。5-1で勝利を収めた。 

 第2試合では、豊田自動織機が戸田中央総合病院と対戦。豊田自動織機は「剛腕」ケイラニ・リケッツを先発に立てながら、2回裏、戸田中央総合病院に先手を奪われる嫌な展開。5番・ジェニファー・イーに左中間を破るツーベースを浴び、次打者の内野ゴロで三塁へ進まれると、7番・萩原瑠美のタイムリーで1点を失った。 

 1点を追う豊田自動織機は4回表、この回先頭の2番・洲鎌夏子が死球で出塁。犠打で二塁へ進み、4番・佐藤光紗の右中間を破るツーベースで二塁走者が生還。同点に追いつき、息を吹き返すと、終盤6回表には、2番・洲鎌夏子のライト前ヒット、四球などで二死一・二塁とし、6番・横野涼が走者一掃のタイムリーツーベースを放ち、2点を勝ち越し。
 このリードを「剛腕」ケイラニ・リケッツが守り切り、3-1で逃げ切り、苦しみながらも勝利をつかみ、通算成績を4勝4敗とし、勝率5割に戻した。 

 2日目、第1試合では好調・デンソーが戸田中央総合病院と対戦し、初回に先制。戸田中央総合病院・五味彩華の立ち上がりを攻め、1番・増山由梨が二遊間を破る安打で出塁すると、2番・永吉理恵の左中間への安打で一塁走者の増山由梨が一気に三塁を陥れ、三塁送球の間に打者走者の永吉理恵も二塁へ進塁。ソツのない走塁で無死二・三塁の先制機をつかみ、3番・安藤千恵が三遊間を破り、二者生還。怒涛の3連打でアッという間に2点を先制。さらに相手守備の乱れもあり、初回に3点を挙げ、試合の主導権を握ると、10安打で6点を奪い、着々とリードを広げた。 

 守っては、先発・ジョーリン・ヘンダーソンが戸田中央総合病院打線をわずか3安打に抑え、6-0の完封勝利。ガッチリと投打が噛み合う危なげのない試合運びで地元・刈谷で連勝。スタンドに詰めかけた応援団を喜ばせ、通算成績を7勝2敗とし、ルネサスエレクトロニクス高崎と並ぶ同率2位に浮上した。 

 敗れた戸田中央総合病院は今節連敗で通算3勝6敗。上位進出を狙うには苦しい状況に追い込まれた。今節初戦の豊田自動織機戦では先取点を奪い、リードする場面もあったのだが、勝利に結びつけることができず、続くデンソー戦では初回に投手陣につかまり、完敗。外国人投手が期待ほど機能しておらず、投手陣に決め手を欠く状態。昨シーズンは、外国人投手に早々に見切りをつけ、田家由里、五味彩華の継投に活路を見出し、入替戦に回る危機を最終戦で回避したが、今シーズンも場合によっては、そんな決断が必要になるか。2シーズン続けて外国人投手が機能しない「結果」となれば、外国人投手獲得の「見る目」や獲得のルートにも疑問符がつくことにもなりかねない。 

 第2試合では、シオノギ製薬と豊田自動織機が対戦。シオノギ製薬・岩田みゆき、豊田自動織機・ケイラニ・リケッツ両左腕の投げ合いとなり、5回まで両チーム無得点。迎えた6回裏、豊田自動織機は連続四球と4番・佐藤光紗のセンター前ヒットで無死満塁の絶好機をつかむと、5番・ケイラニ・リケッツが左中間を破るタイムリーツーベースを放ち、まず2点を先制。なお無死二・三塁のチャンスが続き、一死後、7番・ケイリン・キャスティーヨのレフト線への二塁打で決定的な2点を追加。この回4点を挙げ、勝負を決めた。
 4点のリードをもらった「剛腕」ケイラニ・リケッツは、シオノギ製薬打線をわずか1安打に抑え、完封。4-0で快勝し、地元・刈谷でしっかりと勝ち星を積み上げ、通算成績を5勝4敗とし、白星を先行させた。 

 敗れたシオノギ製薬は、開幕3連勝の後、悪夢の6連敗。開幕当初のあの「強さ」はどこに行ってしまったのか……投打が噛み合わず、泥沼から抜け出すことができずにいる。この試合では、久々に左腕・岩田みゆきが好投し、上位進出の「常連」豊田自動織機を相手に互角の試合を演じた。3回表の一死三塁、4回表の一死二・三塁の先制機を生かせなかったことが響き、完封負けを喫したが、岩田みゆきが本来の力を発揮すれば、上位チームとも十分に戦える。「エース」の完全復調が待たれるところだ。 

【刈谷大会試合結果】
・第1日/5月24日(土)
 デンソー 5-1 シオノギ製薬
 豊田自動織機 3-1 戸田中央総合病院
・第2日/5月25日(日)
 デンソー 6-0 戸田中央総合病院
 豊田自動織機 4−0 シオノギ製薬


 第5節は、5月31日(土)・6月1日(日)の両日、群馬県伊勢崎市、埼玉県戸田市、神奈川県秦野市の3会場で開催される予定である。
 

第47回 日本女子ソフトボール1部リーグ 第4節終了時点 全チーム成績
順位 チーム名
1位 トヨタ自動車
2位 ルネサスエレクトロニクス高崎
デンソー
4位 太陽誘電
5位 豊田自動織機
日立
Honda
8位 SGホールディングスグループ
戸田中央総合病院
シオノギ製薬
11位 伊予銀行
12位 ペヤング

※同率の場合には、前年の順位が上位のチームから順に表記しています。


 
   
 


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