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[2022年04月12日] 「第55回日本女子ソフトボールリーグ」の「スゴい人たち」

「第55回日本女子ソフトボールリーグ」の「スゴい人たち」

 開幕間近に迫った「第55回日本女子ソフトボールリーグ」。ここでは「第55回日本女子ソフトボールリーグ」プラチナセクション・サファイアセクションごとに、その「スゴい人たち」を紹介する。

【プラチナセクション】

 MORI ALL WAVE KANOYAの谷川まき選手は、日本リーグの「最高記録」を2つも保持している。まず「1シーズン最多打点」の最高記録「28打点」を2007年のシーズンに樹立。2009年のシーズンには「1シーズン最多本塁打」の最高記録となる「10本塁打」を放ち、こちらも記録を樹立。「最多打点」も「最多本塁打」もそれに並ぶ選手は出てきているが、未だにその記録を抜き去る選手は現れておらず、日本リーグの「最高記録」として燦然と輝いている。
 谷川まき選手は、その活躍が認められ、2010年「第11回世界女子選手権大会」(現在は「ワールドカップ」と改称されている)に「日本代表」として出場。決勝で北京オリンピックの「リベンジ」に燃えるキャサリン・オスターマン、モニカ・アボットの「Wエース」を擁するアメリカに敗れ、「世界一」こそ逃したが、準優勝の成績を残している。
 世界選手権での「優勝」はならなかったが、同年、カタール・ドーハで開催された「ドーハ・アジア大会」では金メダルを手にしている。

 同じくMORI ALL WAVE KANOYAの「エース」である中野花菜投手は、ジュニア時代に2013年「第10回世界女子ジュニア選手権大会」(現在は「ワールドカップ」と改称され、カテゴリーも「U19」から「U18」に変更されている)に「日本のエース」として出場。見事「世界一」を勝ち獲っている。
 2014年には「日本代表」の一員として「第13回世界女子選手権大会」にも出場し、ここでも「世界一」となっている。

 ペヤングの大津あいみ監督は、1995年「アトランタオリンピック・アジアオセアニア地区最終予選」に「日本代表」として出場。「打てばヒット!」の大活躍で、ソフトボールが初めてオリンピックの舞台で行われることになった翌年のアトランタオリンピックへの出場権を獲得する立役者となった。

 日本は当時、アトランタオリンピックの「第1次予選」を兼ねて開催された1994年の「第8回世界女子選手権大会」で、「まさか……」の6位に終わり、出場権獲得を逃がしていた。
 この「第8回世界女子選手権大会」で上位4チームに入れば、文句なくオリンピック本大会出場権獲得。しかも「オリンピック開催国」として「開催地枠」で出場権を持っていたアメリカが優勝したため、「5位でもオリンピック出場権を獲得できる」という状況にありながら、4位以内に入ることができず、オリンピック出場権獲得を賭けたチャイニーズ・タイペイとの「5位決定戦」にも惨敗。それまでチャイニーズ・タイペイに一度も敗れたことはなかったのに……この「大事な一戦」で敗れるという想定外の事態に直面し、ソフトボールが初めて迎える「オリンピック」という「夢の舞台」に、日本がいない、その舞台に立つことを許されない……そんな「最悪」のシナリオさえ考えられた。

 日本は、ここで「監督交代」という荒療治を施し、大幅な選手の入れ替えも断行。それまで代表歴のなかった大津あいみ監督が日本代表に「大抜擢」され、その期待に応え、打ちまくった。大津あいみ監督がいなければ……日本のソフトボールはまた違った歴史を辿ることになっていたかもしれない。日本にオリンピックへの扉を開いた……という意味で非常に重要な役回りを演じ、キーパーソンとなったのが、現・ペヤングの大津あいみ監督ということになる。

 ルネス紅葉スポーツ柔整専門学校は、「専門学校」という特殊性もあり、「卒業生」が日本リーグはもちろんJD.LEAGUEでも活躍している。その「出世頭」は數原顕子選手で2019年の「2018 JAPAN CUP国際女子ソフトボール大会in高崎」に「日本代表」として出場している。
 また、ルネス紅葉スポーツ柔整専門学校出身ではないが、かつてこの「日本リーグ」で「お荷物」「万年最下位」と揶揄された「日本ウェルネススポーツ大学」というチームがあったが(2019年を最後に日本リーグでの活動を休止)、正直、「まったく勝てない」チームであったものの、現在、JD.LEAGUE「デンソー ブライトペガサス」でレギュラー選手として活躍している剱持祐衣選手はこのチームの出身。
 數原顕子選手も同じくJD.LEAGUE「戸田中央 メディックス埼玉」の「主砲」として今も活躍を続けている。
 現時点では、JD.LEAGUEにオリンピック金メダリストを始め、綺羅星のごときスター選手が集まっているが、この「日本リーグ」から「新たなスター」が生まれる可能性も十分にあるということであり、どこに「チャンス」が転がっているかわからないし、誰もがその「可能性」を秘めている。


【サファイアセクション】

 今シーズンからチーム名を改称した「Citrine Ichinomiya」の大國香奈子監督は1990年の「第7回世界女子選手権大会」と、ソフトボールが「初めて」アジア大会の正式種目に採用され、行われた同年の北京アジア大会に出場している。
 大國香奈子監督は、「貴重な左腕」としてチームに貢献。打撃面でも非凡なところを見せていた。世界選手権は5位、ソフトボールが「初めて」アジア大会正式種目となった北京アジア大会では銀メダルを獲得している。

 平林金属 Peachblossomsの弦田彩加選手は、2009年「ISFイーストン・ファンデーション・ユースワールドカップ」に「日本代表」として出場。初めて開催された「U16」の世界大会で優勝し、「世界一」となっている。この大会は2008年の北京オリンピックを最後に、ソフトボールがオリンピック競技から「除外」されてしまったこともあり、IOC(国際オリンピック委員会)委員の多いヨーロッパでソフトボールの魅力をアピールしよう! と企画された大会で、チェコ・プラハで開催された。日本は予選リーグ・決勝トーナメントを「全勝」で駆け抜け、「世界一」に輝き、野球・ソフトボール「不毛の地」といわれるヨーロッパを舞台にソフトボールの魅力を大いにアピールした。その後のオリンピック競技復帰活動「Back Softball」につながった大会であり、「東京2020オリンピック」でオリンピックの舞台に「復帰」「復活」するきっかけ、道筋を創った大会でもあった。また、そのときチームを率いていたのが、ソフトボールがオリンピック競技に「復帰」「復活」した「東京2020オリンピック」で日本ソフトボール協会の「選手強化本部長」として強化の「全権」を任され、ソフトボール日本代表チームの「チームリーダー」として大会に臨んだ矢端信介氏(現・(公財)日本ソフトボール協会事務局長)だったのも、何かの「因縁」だろうか。

 今シーズンから「日本リーグ」に新規加盟、参戦する小泉病院 Blue Arrowsの木谷謙吾監督は、現役時代「男子日本代表」の一員として2013年の「第13回世界男子選手権大会」、2015年の「第14回世界男子選手権大会」(こちらも現在は「ワールドカップ」に改称されている)に出場。「世界の舞台」を経験している。
 当時の「男子日本代表」は、まさに「苦闘の時代」にあり、後に「国際殿堂入り」を果たす西村信紀(世界選手権出場5回(3位1回・準優勝1回)、元・男子日本代表ヘッドコーチ(監督)。現在はIPU環太平洋大学男子ソフトボール部の監督としてチームをインカレ優勝にも導いている)を「エース」、岡本友章(世界選手権出場3回(3位1回・準優勝1回)、前日本代表ヘッドコーチ(監督)としても世界選手権準優勝。日本リーグ通算71本塁打のスラッガー)、現・(公財)日本ソフトボール協会専務理事)を「主砲」とし、2000年の「第10回世界男子選手権大会」で準優勝を飾ってからというもの「5位の壁」を越えられず……2019年、前述の岡本友章ヘッドコーチのもと、「第16回世界男子選手権大会」で再び準優勝を飾り「復活」を遂げるまで、長い雌伏のときを過ごした。
 現在、木谷謙吾監督の「後輩」たちが日本男子ソフトボールを「世界ランキング1位」に押し上げ、本年11月にニュージーランド・オークランドで開催が予定されている「第17回男子ワールドカップ」で「初」の「世界一」の座をつかみとるべく強化に励んでいる。特に、2019年「WBSC(世界野球ソフトボール連盟)ベストプレイヤー」に輝いた「投打二刀流」の松田光選手、「現役・世界最速」MAX130km/h、「異次元」の変化球を操る小山玲央選手の二人は「ソフトボールファン」であれば「必見」の存在。この「第55回日本女子ソフトボールリーグ」サファイアセクションに参戦している「平橋金属 Peachblossoms」と同じ「平林金属」所属の選手だけに、「平林金属つながり」で、ぜひ観戦の機会を作り、現在「世界ランキング1位」の男子ソフトボールにも目を向けていただければ幸いである(日本ソフトボール協会オフィシャルホームページ「第51回日本男子ソフトボールリーグ」ページはこちら
 この小泉病院 Blue Arrowsには、選手にも「世界の舞台」を経験した選手がいる。山下りら選手は2013年「第10回世界女子ジュニア選手権大会」の優勝メンバー。前述のMORI ALL WAVE KANOYAの「エース」中野花菜とともに「世界一」に輝いている。また、このときの「チームメイト」には、「東京2020オリンピック」で金メダリストとなった我妻悠香選手、内藤実穂選手(ともにJD.LEAGUE・ビックカメラ高崎 ビークイーン)がおり、2008年北京オリンピックを最後にオリンピック競技から「除外」されてしまったソフトボール「冬の時代」に、なお希望を失わず、ソフトボールのオリンピック競技「復帰」「復活」を信じ、再びオリンピックという「夢の舞台」でプレーするのだ……という「強い意志」を持ち続けてくれた選手がいたからこそ、昨夏の「13年越し」となる「2大会連続の金メダル獲得」という「偉業」が成し遂げられ、「夢」を「現実」のものとすることができたのである。実際に「東京2020オリンピック」という「夢の舞台」に立ち、金メダルを手にすることができた選手はわずか15人だが……そこを夢見て、努力し続け、全力を尽くし続けた数多くの選手たちの「想い」があったからこそ、その「想い」をつなげ、忘れなかったからこそ、「金メダル」という夢がつながり、それを手にすることができたのだと信じたい。


 このように、この「日本リーグ」には「スゴい人たち」がたくさんいる。この「スゴい人たち」が、どんなプレーを、どんな采配を見せてくれるか……そんな「予備知識」を持って「日本リーグ」を観戦してみると、また違った面白みや競技の深みを感じることができるのではないだろうか。また、女子だけでなく、男子のソフトボールにも興味・関心を持ってもらえたら幸いである。
 また、こういった選手の他にも、「唯一無二」の魅力と「無限」の可能性を秘めた選手たちはたくさんいる。JD.LEAGUEはもちろんスゴいけど……ソフトボールはJD.LEAGUEだけじゃない! 長い歴史と伝統を持つ、この「日本リーグ」で選手たちがどんな輝きを見せてくれるか、ぜひ試合会場に直接足を運び、その目で確かめてほしい!!

 

MORI ALL WAVE KANOYA・谷川まき選手
日本リーグの年間最多本塁打・最多打点の記録保持者



MORI ALL WAVE KANOYA・中野花菜選手
ジュニアで「世界一」、代表でも「世界一」を経験している好投手



ペヤング・大津あいみ監督の現役時代(写真右端)
オリンピック最終予選で快打連発! 日本のソフトボールの歴史を「変えた」選手だった



ルネス紅葉スポーツ柔整専門学校出身の「出世頭」數原顕子選手
「チャンス」はどこにあるかわからないし、誰もが「可能性」を有している



Citrine Ichinomiya・大國香奈子監督の現役時代
貴重な左腕として「日本代表」で活躍。さて……どこに大國監督かいるか、わかりますか???



平林金属 Peachblossoms・弦田彩加選手
2009年「ISFイーストン・ファンデーション・ユースワールドカップ」で優勝! 「世界一」に!!



小泉病院 Blue Arrows・木谷謙吾監督の現役時代
「男子日本代表」の一員として2013年、2015年の二度「世界の舞台」に立っている



小泉病院 Blue Arrows・山下りら選手は2013年「第10回世界女子ジュニア選手権大会」で優勝!
このときの「チームメイト」に「東京2020オリンピック」金メダリストの我妻悠香選手、内藤実穂選手がいる


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