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[2022年09月10日] 「第55回日本女子ソフトボールリーグ」 第3節を振り返って(サファイアセクション編)

「第55回日本女子ソフトボールリーグ」
第3節を振り返って(サファイアセクション編)




 「第55回日本女子ソフトボールリーグ」第3節「サファイアセクション」は、9月3日(土)・4日(日)の両日、岩手県遠野市で開催された。残念ながら「交流節」終了時点で5勝3敗の「2位」の好位置につけていた小泉病院 Blue Arrowsに新型コロナウイルス陽性者が確認されたため、この第3節への出場を見合わせることとなってしまった(小泉病院 Blue Arrowsの試合は「不戦敗」扱いとなる)。
 これにより、「首位」を走る靜甲が「独走態勢」に入る一方、2位争いは「大混戦」、5勝5敗の「同率2位」に3チームが並ぶという「大混戦」の状況で第3節を終えることになった。


1位 靜甲(8勝2敗)
【第3節試合結果】
・9月3日(土) vs 小泉病院 Blue Arrows ○7-0(不戦勝)
・9月4日(日) vs 厚木SC ○5-3


 「交流節」終了時点で6勝2敗と「サファイアセクション」首位を走る靜甲は、今節初戦に予定されていた「2位」小泉病院 Blue Arrowsとの「首位攻防戦」が「不戦勝」扱いとなったことで、「首位」の座はますます盤石な状態となった。
 2日目の厚木SC戦は初回から鮮やかな「先制攻撃」を見せ、八鍬あゆみ、田沼華乃、本間睦の3連続長短打、中尾萌の犠飛で2点を奪い、試合の主導権を握ると、2-1とリードして迎えた5回裏には代打・井上葉菜のスリーランで突き放し、最終回、厚木SCの反撃を受けたものの、5-3で逃げ切り、通算成績8勝2敗で「首位」の座を堅持。2位争いが大混戦を極める中、「独走態勢」に入っている。
 ただ……数字の上では「盤石」でも、この「第3節」の試合内容を見る限り、「危うさ」「脆さ」を感じさせる場面もあった。今節初戦に予定されていた「2位」小泉病院 Blue Arrowsとの「首位攻防戦」が「不戦勝」となったことで、首位争いに「余裕」が出たことは確かで、2日目の厚木SC戦の先発に「Wエース」ではなく、「ルーキー」の東野真咲を起用したのもその表れだったのかもしれないが、初回にあっさり2点を先制したものの、その直後の2回表、先発・東野真咲が厚木SC打線につかまってしまい、1点差に詰め寄られ、なお無死二・三塁となったところで「Wエース」の一人・山本すみれを急遽登板させる場面があった。結局、山本すみれが代わり端、四球を与え、満塁となったものの、後続を連続三振、サードゴロに打ち取り、ピンチを脱したが、このあたりの選手起用について「迷い」が感じられた。「ルーキー」の成長、経験を積ませるために、この試合の「先発」に起用したのであれば、少々ピンチを招いても、あるいは逆転を許したとしても、「この試合は任せる」といった覚悟や姿勢が必要で、「勝ちにいく!」という試合であれば、いつも通り「Wエース」を先発に起用し、試合展開によって「ルーキー」の登板機会を作る、といった起用法もあったはずである。順位争いに「余裕」ができたことを考え、選手に成長、経験を積ませる機会を作るのか、あるいはまだまだシーズンが終わったわけではなく、「隙」を作ってはならない、と考えるのであれば「Wエース」起用の方針を貫くべきだったのではないだろうか。
 また、最終回の「Wエース」のもう一人・豊田彩乃の起用法にしても同様で、4点差の最終回、1イニングだけの登板、一見「楽な展開」に見えるかもしれないが、それまでの「試合の流れ」は完全に山本すみれが作り出したものであり、最終回、急にバトンを渡されてもモチベーションを上げ、試合に入っていくのは、むしろ難しい状況ではなかったか。このあたりもしっかりと選手交代に関するコミュニケーションが取れていたのか……若干の疑問が残る。
 チームとしての「方針」「ビジョン」に選手は敏感に反応する。「第4節」、その後に控える「リーグ優勝」を決定する「順位決定節」での戦いを見据えるのであれば、もう一度、チームとして「どう戦うか」の意思統一を図っておくべきではないかと感じる。「サファイアセクション」首位通過は見えてきた。しかし、「本当の戦い」はその先にあり、「本当の目標」は「リーグ優勝」のはずである。

第4節試合予定(岡山県新見市・憩いとふれあいの公園野球場)
・9月30日(金) vs 花王コスメ小田原 フェニックス
・10月1日(土) vs 平林金属 Peachblossoms
・10月2日(日) vs Citrine Ichinomiya

 

8勝2敗で首位を「独走」する靜甲

同率2位 小泉病院 Blue Arrows(5勝5敗)
【第3節試合結果】
・9月3日(土) vs 靜甲 ●0-7(不戦敗)
・9月4日(日) vs 花王コスメ小田原 フェニックス ●0-7(不戦敗)
 ※「第3節」新型コロナウイルス陽性者が確認されたため、出場見合わせ


 「交流節」終了時点で5勝3敗。「2位」の好位置につけていた小泉病院 Blue Arrowsは新型コロナウイルス陽性者が確認されたため、今節への出場を見合わせることになり、予定されていた2試合は「無念」の「不戦敗」となり、「首位争い」からは大きく後退。「2位争い」にシフトチェンジし、照準を絞らざるを得なくなった。
 それでも……他チームの動向次第では、リーグ優勝の可能性の残る「サファイアセクション」2位以上となる可能性は残されている。同率で並ぶ花王コスメ小田原 フェニックス戦が「不戦敗」(0-7)となったことで対戦成績の上では不利(直接対決での対戦成績は1勝1敗だが、得失点差が2-1、0-7で-6となり、同率に並んだ場合、順位は下となってしまう)になってしまったが、花王コスメ小田原 フェニックスは「首位」靜甲との対戦を残しており、同じく同率で並ぶCitrine Ichinomiyaも「首位」靜甲との対戦が残る状況で、こちらは「直接対決」の機会が残されている。「第3節」2試合の「不戦敗」という「不運」を乗り越え、「サファイアセクション」2位以上を確保できるのか……小泉病院 Blue Arrowsの戦いに注目が集まる。

第4節試合予定(岡山県新見市・憩いとふれあいの公園野球場)
・9月30日(金) vs Citrine Ichinomiya
・10月1日(土) vs 厚木SC
・10月2日(日) vs 平林金属 Peachblossoms


 

「不戦敗」による2敗が響き、5勝5敗の同率2位となった小泉病院 Blue Arrows

同率2位 Citrine Ichinomiya(5勝5敗)
【第3節試合結果】
・9月3日(土) vs 厚木SC ○4-3
・9月4日(日) vs 平林金属 Peachblossoms ○3-0


 通算成績3勝5敗の「同率4位」でこの「第3節」を迎えたCitrine Ichinomiyaは今節「連勝」。一気に「同率2位」に浮上した。
 今節初戦の厚木SC戦は初回、青野可奈の適時二塁打で先制すると、4回表には林佑奈、奥村涼、仁科芽惟のタイムリー等で3点を追加。終盤、厚木SCの猛追を受けたものの、山下紗季の好リリーフもあり、4-3の1点差で逃げ切り。
 続く平林金属 Peachblossoms戦は、息詰まる投手戦となり、0-0のまま、延長タイブレークに突入。延長8回表、代打・藤田秋花の適時三塁打、奥村涼のダメ押しのタイムリーで3点を挙げ、そのまま3-0で押し切り、今節「連勝」。通算成績5勝5敗の「勝率5割」に戻し、「同率2位」に順位を上げた。
 「エース」松本菜摘に安定感があり、「ルーキー」山下紗季がチームの窮地を救う好リリーフの連続。今節チームの「救世主」的存在となった。
 また、これまで「不振」だった打線もしっかりと好投の投手陣を援護。投打の歯車が噛み合い、今節「連勝」。この調子を持続できれば「第4節」での戦いにも期待が持てる。
 ただ……「第4節」は「同率2位」に並ぶ小泉病院 Blue Arrows、花王コスメ小田原 フェニックスとの「直接対決」が組まれ、「首位」を走る靜甲との対戦も残されている。まさに「正念場」、Citrine Ichinomiyaの「真価」が問われる戦いとなる。

第4節試合予定(岡山県新見市・憩いとふれあいの公園野球場)
・9月30日(金) vs 小泉病院 Blue Arrows
・10月1日(土) vs 花王コスメ小田原 フェニックス
・10月2日(日) vs 靜甲


 

今節「連勝」で5勝5敗の同率2位に浮上したCitrine Ichinomiya

同率2位 花王コスメ小田原 フェニックス(5勝5敗)
【第3節試合結果】
・9月3日(土) vs 平林金属 Peachblossoms ○3-2
・9月4日(日) vs 小泉病院 Blue Arrows ○7-0(不戦勝)


 花王コスメ小田原 フェニックスも今節「連勝」。一気に「同率2位」に順位を上げてきた。初戦の平林金属 Peachblossoms戦に勝てば、2日目に予定されていた小泉病院 Blue Arrowsとの一戦が「不戦勝」となったことで通算成績は5勝5敗が「確定」。リーグ優勝の可能性を残す「2位」に浮上するチャンスをつかんだ。
 注目の平林金属 Peachblossoms戦、3回裏、鈴木未空の安打からチャンスをつかみ、犠打、四球で一死一・二塁とした後、中村仰がレフト頭上を越える適時二塁打を放ち、2点を先制。中村仰は5回裏にも3点目となるタイムリーを放ち、チームの全得点を叩き出す大活躍。このリードを「エース」朝比奈さくら、「左腕」萩原愛とつなぐ投手リレーで平林金属 Peachblossoms打線の反撃を2点に抑え、3-2で辛勝。この試合にしっかりと勝利を収め、小泉病院 Blue Arrows戦の「不戦勝」を加え、通算成績5勝5敗。「同率2位」に並んだ。
 「同率2位」に並ぶ小泉病院 Blue Arrowsとの「直接対決」は、今節の対戦が「不戦勝」となったため、「同率」で並んだ場合の「得失点差」では有利な状況にあり、Citrine Ichinomiyaとの対戦でも「第2節」に1-0で勝利している。「サファイアセクション」2位争いでは「有利」な立場にはあるが、「首位」靜甲との対戦も残っており、まだまだ予断を許さない状況が続く。このまま「有利」な状況を保ち、「サファイアセクション」2位の座を確保できるのか……最後の最後まで目の離せない「激戦」となること必至だ。

第4節試合予定(岡山県新見市・憩いとふれあいの公園野球場)
・9月30日(金) vs 靜甲
・10月1日(土) vs Citrine Ichinomiya
・10月2日(日) vs 厚木SC


 

通算成績5勝5敗とし、3チーム並びの「同率2位」となった花王コスメ小田原 フェニックス

5位 平林金属 Peachblossoms(4勝6敗)
【第3節試合結果】
・9月3日(土) vs 花王コスメ小田原 フェニックス ●2-3
・9月4日(日) vs Citrine Ichinomiya ●0-3


 通算成績4勝4敗で「勝率5割」、「交流節」終了時点で3位につけていた平林金属 Peachblossomsは、今節「連敗」で5位まで順位を落としてしまった。
初戦の花王コスメ小田原 フェニックス戦は、常に「先手」を奪われる試合展開となり、追撃及ばず2-3で惜敗。続くCitrine Ichinomiya戦も延長タイブレークにもつれ込む緊迫の投手戦を演じながら、最後は力尽き、0-3で敗れた。
 今節2試合「連勝」すれば「単独2位」に浮上するチャンスだったのだが……いずれも好ゲーム演じながら「あと一歩」及ばず、「連勝」どころか、手痛い「連敗」。2位争いから一歩後退する結果となってしまった。
 しかし、稀に見る「大混戦」となっているだけに「第4節」の残る3試合を「3連勝」するようなことがあれば……「奇跡」を信じ、「ホーム」開催となる「第4節」で最後まで全力を尽くし、「奇跡の大逆襲」を心に誓う!

第4節試合予定(岡山県新見市・憩いとふれあいの公園野球場)
・9月30日(金) vs 厚木SC
・10月1日(土) vs 靜甲
・10月2日(日) vs 小泉病院 Blue Arrows


 

今節手痛い連敗を喫し、4勝6敗で5位に順位を落とした平林金属 Peachblossoms

6位 厚木SC(2勝8敗)
【第3節試合結果】
・9月3日(土) vs Citrine Ichinomiya ●3-4
・9月4日(日) vs 靜甲 ●3-5


 通算成績2勝6敗でこの「第3節」を迎えた厚木SCは、今節も「好ゲーム」を演じながら「連敗」。通算成績2勝8敗で最下位となっている。
 初戦のCitrine Ichinomiya戦は4点をリードされながら終盤猛追。6回裏、小山優理が左中間二塁打を放ち、反撃の口火を切ると、連続四死球で無死満塁と攻め立て、一死後、敵失、小森真央の適時二塁打で3点を返し、一気に1点差まで追い上げ、なお満塁のチャンスが続いたのだが……リリーフしたCitrine Ichinomiya・山下紗季に後続を断たれ、そのまま3-4で押し切られ、1点差負け。
 続く靜甲戦も初回に2点を先制されながら、直後の2回表、靜甲の先発・東野真咲をとらえ、後藤菜緒子、小森真央の長短打で1点を返し、なお無死満塁と攻め立てたが、代わった靜甲の「Wエース」の一人・山本すみれに連続三振、サードゴロに打ち取られ、逆転のチャンスを逃がし、4点差となって迎えた最終回には、靜甲が誇る「Wエース」のもう一人・豊田彩乃を攻め、岩波冴果の右犠飛等で2点を返し、なお二死一・二塁と攻め続け、「長打が出れば同点」「ホームランが出れば逆転サヨナラ」の場面を作ったのだが……最後の打者がライトフライに倒れ、「あと一本」が出ず、今節「連敗」。通算成績2勝8敗の最下位で「第3節」を終えることになってしまった。
 試合内容は決して悪くない。展開によっては勝敗が逆になっていてもおかしくないほど「善戦」「健闘」はしている。だが……「あと一歩」のところで勝ち切れていない。「第4節」ではその「あと一歩」を乗り越え、「厚木SCらしい」戦いで「勝利」を手にすることを期待したい。

第4節試合予定(岡山県新見市・憩いとふれあいの公園野球場)
・9月30日(金) vs 平林金属 Peachblossoms
・10月1日(土) vs 小泉病院 Blue Arrows
・10月2日(日) vs 花王コスメ小田原 フェニックス

通算成績2勝8敗で最下位の厚木SC


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