NEWS

rss icon

[2022年06月01日] 「第55回日本女子ソフトボールリーグ」第2節 プラチナセクションを振り返って

「第55回日本女子ソフトボールリーグ」第2節
プラチナセクションを振り返って




 去る5月20日(金)~22日(日)、千葉県市原市・ゼットエーボールパークを会場に、「第55回日本女子ソフトボールリーグ」第2節・プラチナセクションが開催された。
 ここではその第2節・プラチナセクションでの戦いを振り返ってみたい。
※第2節終了時点でのプラチナセクション各チームの成績はこちら)。


1位 大和電機工業(5勝0敗)
 大和電機工業は今節初戦、第1節でともに「連勝」スタートを切ったMORI ALL WAVE KANOYAと対戦。注目の「首位攻防戦」「直接対決」は、3回裏、ジュニア時代、そして「日本代表」としても「世界一」を経験しているMORI ALL WAVE KANOYAの「エース」中野花菜から新海雪奈がスリーランホームランを放ち、試合の「流れ」を決定づけると、5回裏にも3本の長短打を集中し、2点を追加。守っては、先発・大串都未希が序盤、毎回のようにピンチを招きながらも「決定打」を許さず、結局、5-0の完封勝ち。この「前半戦最大の山場」となる「首位攻防戦」に快勝した大和電機工業は、続くYKK戦も堀あかね、小柳結の本塁打を含む13安打と打線が爆発! 7-1で勝利を収め、今節最終戦も「ホーム」のVONDS市原と白熱の好ゲームを展開。先制され、追いついてもまた突き放され、という苦しい試合展開となったが、5回表、今節「神懸かり」的な活躍を見せる新海雪奈の同点打で2-2と試合を振り出しに戻し、最終回、その新海雪奈が今度は勝負を決めるツーランホームラン! まさに「神ってる」大活躍で粘るVONDS市原を5-2で振り切り、今節3連勝。通算成績5勝0敗とプラチナセクションで唯一「全勝」を守っている。
 特筆すべきは、やはり打線の活躍。打撃ランキングのトップを走り、驚異の打率7割6厘・本塁打2・打点14のハイアベレージを残している新海雪奈を中心に、プラチナセクショントップの3本塁打を放ち、打率5割・9打点の堀あかね、「キャプテン」で「4番」の車亜紀子(打率4割3分8厘・打点4)と強打者を揃え、チーム打率4割・総本塁打6・総得点53といずれもプラチナセクショントップの数字が並ぶ。
 投手陣も大串都未希、斉藤未来の左右の両輪がしっかりとそれぞれの「役割」を果たし、全勝街道まっしぐら! 首位を快走している。
 7月1日(金)~3日(日)の「交流節」(富山県富山市・岩瀬スポーツ公園で開催)では、「サファイアセクション」2位、4位、6位のチームとの対戦となるが、ここではどんな戦いを見せてくれるか、このままの「勢い」で突っ走ることができるか、期待と注目が集まる。
【交流節】試合スケジュール
・7月1日(金)
 10:00 対 小泉病院 Blue Arrows(サファイアセクション2位)
 12:30 対 花王コスメ小田原 フェニックス(サファイアセクション4位)
・7月2日(土)
 10:00 対 厚木SC(サファイアセクション6位)
・7月3日(日)
 10:30 ジュニアオールスターゲーム
 13:00 オールスターゲーム

5戦全勝で首位を快走する大和電機工業

2位 MORI ALL WAVE KANOYA(4勝1敗)
 第2節は初戦の大和電機工業との「直接対決」「首位攻防戦」に敗れ、2勝1敗。通算成績4勝1敗の2位で前半戦を折り返すことになった。大和電機工業戦は初回の無死一・二塁、2回表の一死三塁、3回表の二死一・三塁とことごとく先制のチャンスを潰し、3回裏に頼みの「エース」中野花菜が「まさか……」のスリーランを被弾。そこから立て直すことができず、0-5と完敗。続くペヤング戦も初回、2回裏に二死一・二塁、3回裏にも二死一・三塁としながら攻め切れず、「あと一本」が出ない「金縛り」状態。4回裏、「ベテラン」谷川まきに先制本塁打が飛び出し、終盤相手投手陣の制球の乱れもあり、結果的には6-0と大勝したが、試合内容的にはスッキリしない状態が続き、最終戦のYKK戦も初回の一死二・三塁をモノにできず、2回表は先頭打者が安打で出塁しても進めることすらできず……と何とももどかしい試合運びが続く。3回表、「切り込み隊長」上村麗の三塁打で猛攻の口火を切り、それまでの溜まりに溜まった鬱憤を一気に晴らすかのように8本の長短打を集め、大量8得点。終わってみれば12-1の大勝で今節2勝1敗、通算成績4勝1敗で2位につけたが、思いのほか「苦労していた」印象が強い。
 チームが苦しいときに「存在感」を発揮したのが、「ベテラン」の谷川まき。ズルズルと相手のペースに巻き込まれそうな試合展開で放ったペヤング戦の一発は、まさに「チームを救う」一発だった。
 第1節でともに「連勝」、同率首位に並んでいた大和電機工業に対し、投手陣に関しては「アドバンテージ」があり、大和電機工業の「強力打線」をもってしても、中野花菜、竹原由菜、木村麻利亜が揃う投手陣を攻略するのは「至難の業」と見ていたが、その「予想」を覆す打線の破壊力、高い攻撃力を大和電機工業が有していた。この対戦を踏まえ、後半戦での「次なる対戦」に備え、徹底的な「対策」を講じる必要がある。特に「神懸かり」的な活躍を見せる新海雪奈をどう止めるか……それが最大の焦点となる。
 また、投手陣の踏ん張りだけでなく、「打線の援護」もカギとなる。今回の敗戦も「一発」のダメージは確かに大きかった(それもスリーランであっただけに)が、序盤のチャンスで一本出ていれば、試合展開も変わっていたはず。打撃ランキング2位、打率6割6分7厘・本塁打2・打点6の上村麗、打率4割越えの木村麻利亜、福元彩未、西山絵梨香、打率3割3分3厘・本塁打2・打点4と調子を上げつつあり、勝負どころでの「恐さ」を持つ「ベテラン」谷川まきと打線にもタレントは揃っている。「やられたらやり返す」MORI ALL WAVE KANOYAの後半戦での「逆襲」に期待したいところだが、まずは次に控える「交流節」、サファイアセクションのチームとの対戦をどう乗り切るか……特にサファイアセクションの「首位」を走る靜甲との一戦は、後半戦を占う意味でも「大きな見どころ」となりそうだ。
【交流節】試合スケジュール
・7月1日(金)
 12:30 対 平林金属 Peachblossoms(サファイアセクション3位)
 15:00 対 Citrine Ichinomiya(サファイアセクション5位)
・7月2日(土)
 12:30 対 靜甲(サファイアセクション1位)
・7月3日(日)
 10:30 ジュニアオールスターゲーム
 13:00 オールスターゲーム

4勝1敗の2位で前半戦を折り返したMORI ALL WAVE KANOYA

3位 VONDS市原(3勝2敗)
 第2節が「ホーム」開催となったVONDS市原は、初戦のペヤング戦を4-1で快勝すると、続くルネス紅葉スポーツ柔整専門学校戦は金野友香、和田美樹、酒井啓名の「一発攻勢」で全得点をホームランで叩き出し、4-0の完封勝利。勝てば「同率首位」に並ぶ大和電機工業との「大一番」に臨んだ。この試合も「キャプテン」増田マリアの「執念」の適時内野安打で3回裏に先制し、一度は同点に追いつかれたものの、すぐに金野友香のソロホームランで突き放す等、理想的な試合展開。思い描いていたゲームプラン通りに進んでいたのだが……「神ってる」新海雪奈の存在だけが「計算外」、事前の想定をはるかに超えていた。その新海雪奈に5回表、二死二塁で同点タイムリーを浴び、最終回、勝ち越された後、「トドメ」のツーランホームランを浴びる「おまけ」付き。5回表の二死二塁の場面は一塁が空いていただけに、歩かせる選択肢もあったと思うが……「挑戦者」らしく真っ向勝負を挑み、結果的には「力負け」してしまった。
 それでも敗れたとはいえ、素晴らしい試合内容で、「ホーム」の大応援団を大いに沸かせ、「また応援に行きたい!」「またソフトボールを観に行きたい!!」と思わせるだけの白熱の好ゲームを演じてくれた。
 ただ……勝てば「同率首位」、三つ巴の混戦に持ち込めるところだっただけに、悔やまれる試合ではあった。「リーグ優勝」を狙うには、まずプラチナセクションで「2位以内」に入ることが「絶対条件」(両セクションの1位・2位のチームで最終順位決定戦が行われるため)。現時点で首位を走る大和電機工業、2位のMORI ALL WAVE KANOYAに前半戦で「連敗」してしまったことを考えると、後半戦での「逆転」は決して容易なことではないが、まだ後半戦で上位2チームとの「直接対決」で叩くチャンスも残されており、まずはそこに至るまでに「取りこぼし」をしないことが重要になる。また、これまで対戦のないサファイアセクションとの対戦となる「交流節」をどう乗り切るかも、後半戦を戦う上で一つのターニングポイントとなりそうだ。
 「エース」高田香、大和電機工業との「首位攻防戦」で先発を任された渡邉双葉の踏ん張りと、「4番」に座り、打率5割と当たっている小林かな実、打率4割6分7厘、チャンスメーカーであり、打線のつなぎ役を担当する澤雪乃、打率3割目前(2割9分4厘・本塁打2・打点3)と本来の調子を取り戻しつつある「チームの顔」和田美樹らのさらなる活躍に期待したいところだ。
【交流節】試合スケジュール
・7月1日(金)
 10:00 対 厚木SC(サファイアセクション6位)
 15:00 対 花王コスメ小田原 フェニックス(サファイアセクション4位)
・7月2日(土)
 15:00 対 小泉病院 Blue Arrows(サファイアセクション2位)
・7月3日(日)
 10:30 ジュニアオールスターゲーム
 13:00 オールスターゲーム

3勝2敗で3位のVONDS市原

4位 YKK(2勝3敗)
 初戦のルネス紅葉スポーツ柔整専門学校戦には11-1と大勝したものの、首位を走る大和電機工業に1-7、2位のMORI ALL WAVE KANOYAに1-12と大敗。上位チームとの対戦で「力の差」を見せつけられる形となってしまった。
 打線では「キャプテン」大内麻里奈が打率3割7分5厘、プラチナセクショントップの3本塁打を放ち、8打点を挙げる等、「存在感」を見せており、トップバッターの宮坂佑希も打率3割3分3厘・2本塁打・3打点とチームを引っ張る「リードオフマン」として及第点の働きを見せているが、チーム防御率4.53、総失点24(いずれもプラチナセクション4位)と上位争いに割って入るには「厳しい数字」が並んでおり、負け越す形で前半戦を終えてしまった。
 「エース」市六有那を中心に、投手陣の底上げ、レベルアップが後半戦躍進のカギを握る。また、打線には宮坂佑希、大内麻里奈という、攻撃の「起点」となり。打線の「「軸」となる打者がいるだけに、主軸打者の前に走者を出し、チャンスを作り、どんな攻撃を組みたてていくか……も打線強化、攻撃力アップのポイントとなる。
 「地元」富山で開催される「交流戦」で、サファイアセクションのチームを蹴散らし、後半戦への「弾み」をつけたいところだ。
【交流節】試合スケジュール
・7月1日(金)
 10:00 対 Citrine Ichinomiya(サファイアセクション5位)
・7月2日(土)
 10:00 対 靜甲(サファイアセクション1位)
 12:30 対 平林金属 Peachblossoms(サファイアセクション3位)
・7月3日(日)
 10:30 ジュニアオールスターゲーム
 13:00 オールスターゲーム

2勝3敗で4位のYKK

5位 ペヤング(1勝4敗)
 初戦のVONDS市原戦に1-4、続くMORI ALL WAVE KANOYA戦に0-6と敗れたものの、ルネス紅葉スポーツ柔整専門学校戦に2-1で競り勝ち、嬉しい今シーズン初勝利を挙げた。
 2試合で33失点と崩れた第1節との「違い」は池上紗葵が「エース」となりつつあること。VONDS市原戦では5回まで1-2、続くMORI ALL WAVE KANOYA戦も5回まで0-1としっかりと試合を作り、「先発」の役割を果たしている。最終戦のルネス紅葉スポーツ柔整専門学校戦では、2点を先制し、1点差に追い上げられた4回途中からリリーフに立ち、最後までそのリードを守り切り、「勝利投手」となった。
 相変わらず四死球が多い(初戦が完投して8四死球、2戦目が5回0/3で7四死球、最終戦が3回途中から4回を投げ3四球)のは気になるが、この第2節は「エース」と呼ぶにふさわしいピッチングを見せてくれた。
 打線は、第1節で「爆発」した大﨑小夏が徹底マークを受け、勝負を避けられる場面も多く見られたが、トップバッターの宮本明日香が打線を引っ張り、チーム打率は1割3分6厘でプラチナセクション「最下位」と振るわぬ打線の中で孤軍奮闘。ルネス紅葉スポーツ柔整専門学校戦では「キャプテン」小野友里奈に今シーズン5試合目、13打席目にして「初ヒット」が飛びだし、これが先制のタイムリーとなる等、徐々にチームとしてのまとまり、盛り上がりを感じさせるシーンも見られた。
 まだまだ課題も多いものの、第1節に比べ「長足の進歩」を感じさせる試合内容で、「交流節」そして「後半戦」でどんな戦いを見せてくれるか……さらなる期待が高まる。
【交流節】試合スケジュール
・7月1日(金)
 15:00 対 厚木SC(サファイアセクション6位)
・7月2日(土)
 12:30 対 小泉病院 Blue Arrows(サファイアセクション2位)
 15:00 対 花王コスメ小田原 フェニックス(サファイアセクション4位)
・7月3日(日)
 10:30 ジュニアオールスターゲーム
 13:00 オールスターゲーム

待望の「1勝」を挙げ、1勝4敗で5位のペヤング

6位 ルネス紅葉スポーツ柔整専門学校(0勝5敗)
 ルネス紅葉スポーツ柔整専門学校は初戦のYKK戦に1-11の大差で破れ、続くVONDS市原戦も0-4の完封負け。最終戦のペヤング戦に「今シーズン初勝利」をかけ、挑んだが、惜しくも1-2で競り負け、今シーズン初勝利は次節以降に「お預け」となってしまった。
 まだまだ「粗さ」は目立つものの、「フルスイング」で立ち向かう姿には好感が持て、「結果」こそ出ていないが、その「思い切りの良さ」には清々しさを感じる。
 ただ……やはり「相手」のあること、何でもかんでも「フルスイング」では通用しない。状況によっては走者を進める「進塁打」、ツーストライクを取られたらコンパクトなバッティングに切り換える等、工夫も必要になる。
 それでもペヤングと1点を争う好ゲームを演じたことは大きな収穫で「次」につながる試合であったことは間違いない。この経験、敗戦を糧に……一日も早く「今シーズン初勝利」をつかんでほしいものである。
【交流節】試合スケジュール
・7月1日(金)
 12:30 対 靜甲(サファイアセクション1位)
・7月2日(土)
 10:00 対 Citrine Ichinomiya(サファイアセクション5位)
 15:00 対 平林金属 Peachblossoms(サファイアセクション3位)
・7月3日(日)
 10:30 ジュニアオールスターゲーム
 13:00 オールスターゲーム

ルネス紅葉スポーツ柔整専門学校は未だ勝ち星なしの5連敗……


pc