NEWS

rss icon

[2022年06月01日] 「第55回日本女子ソフトボールリーグ」第2節 サファイアセクションを振り返って

「第55回日本女子ソフトボールリーグ」第2節
サファイアセクションを振り返って




 去る5月20日(金)~23日(日)、神奈川県厚木市・厚木市営及川球技場を会場に、「第55回日本女子ソフトボールリーグ」第2節・サファイアセクションが開催された。
 ここではその第2節・サファイアセクションでの戦いを振り返ってみたい。
※第2節終了時点でのサファイアセクション各チームの成績はこちら)。


1位 靜甲(5勝0敗) 
 第1節を「連勝」し、平林金属 Peachblossomsと並んで「同率首位」と好スタートを切った靜甲は、今節も豊田彩乃、山本すみれの「Wエース」が好調。この第2節の初戦、花王コスメ小田原 フェニックスと対戦し、第1節に続き、大事な「初戦」の先発を任された豊田彩乃がその期待に応え、力投。2回表に1点のリードをもらい、4回裏、一度は同点に追いつかれてしまったが、5回表、「ルーキー」井上葉菜の適時二塁打等で3点を勝ち越すと、先発・豊田彩乃が再びリードをもらった5回以降は花王コスメ小田原 フェニックス打線をわずか1安打に抑え、1失点の完投勝利。4-1で逃げ切り、初戦を勝利で飾ると、続く平林金属 Peachblossoms戦は打線が爆発! 本間睦、中尾萌が本塁打を放つ等、4本の長打を含む9安打で二桁10点を奪い、守っては「もう一人のエース」山本すみれが6回まで8安打されながらも打線の大量援護もあり、1失点でまとめ、最後は「ルーキー」東野真咲を登板させる「余裕」の投手リレーで10-1と大勝。最終戦のCitrine Ichinomiya戦は、2回表に中尾萌の「2試合連続」となる本塁打で先手を取ると、5回表には鹿目真実の犠牲フライでで貴重な追加点を挙げ、2-0とリードを広げ、このリードを「連投」となった山本すみれがCitrine Ichinomiya打線を散発4安打、二桁10三振を奪う力投で守り切り、2-0の完封勝利。今節3連勝で開幕からの無傷の連勝を「5」に伸ばし、単独首位に立った。
 投手陣は「Wエース」山本すみれが3勝0敗・防御率0.35・奪三振24(投球回数20回)で堂々の投手ランキング1位に輝き、豊田彩乃も規定投球回数には1イニング足りなかったものの、2勝0敗・防御率0.54・奪三振4(投球回数13回)と安定感溢れるピッチングを続けている。この「Wエース」が競い合い、刺激し合って、互いに負けまいといい意味で張り合うことで「相乗効果」が生まれ、首位快走の「原動力」となっている。
 打線では「ルーキー」井上葉菜が打率4割2分9厘・本塁打1・打点3と好調。今節、2本の本塁打と放った中尾萌も打率を3割台に乗せ(3割3分3厘)、調子を上げてきている。
 この「絶好調」を持続させ、プラチナセクションのチームとの対戦となる「交流節」も突っ走ることができるか……チームとしての「底力」と「Wエース」の「真価」が問われる戦いとなる。
【交流節】試合スケジュール
・7月1日(金)
 12:30 対 ルネス紅葉スポーツ柔整専門学校(プラチナセクション6位)
・7月2日(土)
 10:00 対 YKK(プラチナセクション4位)
 12:30 対 MORI ALL WAVE KANOYA(サファイアセクション2位)
・7月3日(日)
 10:30 ジュニアオールスターゲーム
 13:00 オールスターゲーム

「Wエース」が好調! 全勝街道驀進中の靜甲

2位 小泉病院 Blue Arrows(4勝1敗)
 第1節を1勝1敗で乗り切った「日本リーグ新規加盟」の小泉病院 Blue Arrowsは今節快調に3連勝。すべて「1点差」のクロスゲームを制し、通算成績4勝1敗とし、2位の好位置につけた。
 初戦のCitrine Ichinomiya戦は「打撃好調」の日浦安奈のタイムリーで初回に先制すると、「エース」原田悠がCitrine Ichinomiyaを散発4安打に抑え込み、最後まで得点を許さず、最少得点差を守り切り、1-0の完封勝利。続く平林金属 Peachblossoms戦は、開幕から3試合ノーヒットに終わっていた山下りらに待望の一発が飛び出し、2点をリードすると、「エース」原田悠が最終回にソロホームランを浴び、1点差に迫られたものの、2-1で逃げ切り、連勝。最終戦の厚木SCは激しい点の奪い合いとなり、5-5の同点のまま、試合は延長タイブレークに突入。8回に1点ずつを取り合い、6-6で迎えた延長9回表、上田爽樺の適時二塁打で1点を勝ち越し。その裏、一死二・三塁のピンチをダブルプレーで切り抜け、7-6で辛勝。今節3連勝で通算成績4勝1敗とし、2位で前半戦を折り返した。
 ただ……この最終戦、最後のプレーは本来なら厚木SCに「得点」が認められ、7-7の同点で「試合続行」となっていたはずだった。一死二・三塁でヒットエンドラン、三塁走者も二塁走者もスタートを切っており、セカンドライナーで戻れず、打球をダイレクトキャッチしたセカンドが二塁ベースカバーに入ったショートに送球し、ショートが二塁ベースを踏み、ダブルプレーで試合終了……となったが、その前に三塁走者が本塁を踏んでおり、これは「タイムプレー」として扱われ、飛び出した二塁走者がアウトになる前に、三塁走者が本塁を踏んでいたため、このままでは厚木SCの得点が認められることになる。二塁走者のアウトは「フォースプレー」ではなく、球を保持したショートが二塁ベースを踏んだ行為が、二塁走者のタッチアップの早過ぎを「アピール」したとみなされ、「アウト」となる「アピールプレー」。「ダブルプレー」は成立するが、このままでは「タイムプレー」で二塁走者のアウトより、先に本塁を踏んでいた三塁走者の得点が認められてしまうため、守備側は三塁へ転送し、三塁塁上で三塁走者のタッチアップの早過ぎを「アピール」し、第3アウトの置き換えを行い、得点を取り消す必要がある。この試合では、審判員も監督・コーチも選手も、誰もそれに気づかず、そのまま試合終了となってしまったが……本来であれば、このケースでは得点が認められ、同点で試合続行となっていたら、それこそ勝敗はどちらに転んでいたかわからない。誰も気づかなかった「レアケース」ともいえるが、やはりプレーイングルールを正しく理解し、いついかなるときにもそれが正しく運用・適用されているか、見極められるだけの知識と目、判断力を身につけておく必要があり、「教訓」としなければならないケースだ。
 ここまでの5試合、敗れた第1節の靜甲戦も含め、すべて「1点差」。開幕初戦が2-1、敗れた靜甲戦が0-1、この第2節が1-0、2-1、7-6と最終戦を除けば、いずれもロースコアのクロスゲームとなっている。それが小泉病院 Blue Arrowsの「持ち味」ともいえるが、打線の援護があれば、もっと楽な試合展開になっていたはず。その意味でも、この第2節に入り、山下りらに当たりが出てきたのは「明るい材料」。打率4割6分2厘の上田爽樺、打率4割1分2厘の日浦安奈らとともに、山下りらが「本調子」となれば、「エース」原田悠(4勝1敗・防御率1.03・奪三振18)に安定感があるだけに「首位進出」も夢ではない。
 プラチナセクションのチームとの対戦でも小泉病院 Blue Arrows「らしく」僅差の競り合いに持ち込み、しぶとく勝ちを拾っていくのか、さらに打撃力・攻撃力をアップさせ、盤石の試合運びを見せるようになるのか、チームの成長と変化を「期待」を持って見守りたい。
【交流節】試合スケジュール
・7月1日(金)
 10:00 対 大和電機工業(プラチナセクション1位)
・7月2日(土)
 12:30 対 ペヤング(プラチナセクション5位)
 15:00 対 VONDS市原(プラチナセクション3位)
・7月3日(日)
 10:30 ジュニアオールスターゲーム
 13:00 オールスターゲーム

「新規加盟」ながら4勝1敗で2位につける小泉病院 Blue Arrows

3位 平林金属 Peachblossoms(2勝3敗)
 第1節は「連勝」の好スタートを切った平林金属 Peachblossoms。だが……この第2節は初戦の厚木SCで4-15と大敗。これで歯車が狂ったか、続く靜甲戦も二桁失点で1-10の一方的な試合展開で完敗を喫し、最終戦の小泉病院 Blue Arrows戦は投手陣が踏ん張り、最終回、代打・岡田望の本塁打で1点差まで追撃したものの、1-2で惜敗。今節勝ち星なしの3連敗となってしまった。
 第1節ではうまく機能していた「投打二刀流」をフル活用する継投策が第2節では完全に破綻。むしろ「誰を軸に起用するのか」ハッキリしないまま、「迷走」してしまった感がある。投手陣がつかまり、試合を作れず、大差で2試合を落とし、最終戦では投手陣が踏ん張っているのに打線の援護なく……と完全な悪循環に陥ってしまった。
 打線は打撃ランキングの1位に森香央理(打率5割)、同2位の川渕真由(打率4割7分4厘)、同4位の松口明日香(打率4割6分2厘)と決して当たっていないわけではない。チーム打率2割9分2厘はサファイアセクショントップの数字である。そうなると……やはり投手陣の立て直しが急務となる。
 プラチナセクションのチームとの対戦となる「交流節」で一度気持ちを「リセット」し、「リフレッシュ」して臨むことで「嫌な流れ」を断ち切りたいところ。誰を「軸」として戦うか、あるいは「軸」となる投手が出現するか……いずれにせよ、この「交流節」で流れを変え、再び「上位争い」に割り込んでいく「キッカケ」をつかみ、花王コスメ小田原 フェニックスと「同率」ながら「直接対決」の結果でサファイアセクション「3位」となった「運」をも味方につけられるか……「正念場」を迎えることになる。
【交流節】試合スケジュール
・7月1日(金)
 12:30 対 MORI ALL WAVE KANOYA(サファイアセクション2位)
・7月2日(土)
 12:30 対 YKK(プラチナセクション4位)
 15:00 対 ルネス紅葉スポーツ柔整専門学校(プラチナセクション6位)
・7月3日(日)
 10:30 ジュニアオールスターゲーム
 13:00 オールスターゲーム

開幕「連勝」スタートを切りながら……今節3連敗の平林金属 Peachblossoms

4位 花王コスメ小田原 フェニックス(2勝3敗)
 第1節「連敗」のスタートとなり、第2節の初戦も「首位」を走る靜甲に1-4で敗れ、3連敗となってしまったが、そこから厚木SC、Citrine Ichinomiyaを連破。2試合連続の1-0、最少得点差での完封勝ちで通算成績2勝3敗と「勝率5割」復帰まで「あと一歩」と迫った。
 その「立役者」となったのは、「エース」朝比奈さくら。厚木SC戦はわずか3安打、Citrine Ichinomiya戦も同じく3安打に抑え込み、2試合連続の完封勝利。「同率」で並んだ平林金属 Peachblossomsとは「直接対決」での勝敗(6-7で敗戦)で「4位」となったが、それによりプラチナセクションの対戦相手が変わったことが、結果にどう影響するか……も後半戦へ向け、大きなポイントとなる。
 チーム打率1割8分・本塁打0は、いずれもサファイアセクション最下位。総得点10(プラチナセクション5位)は1試合平均2点しか取れない計算となる。これでは「エース」朝比奈さくらにかかる比重はより大きなものとなり、その「出来」にチームの浮沈がかかっている、といっても過言ではない。
 打率4割2分9厘の岡田南を攻撃の「起点」とし、何とか打撃力・攻撃力のアップにつなげ、獅子奮迅の活躍を見せる「エース」の力投に報いたいところだ。
【交流節】試合スケジュール
・7月1日(金)
 12:30 対 大和電機工業(プラチナセクション1位)
 15:00 対 VONDS市原(プラチナセクション3位)
・7月2日(土)
 15:00 対 ペヤング(プラチナセクション5位)
・7月3日(日)
 10:30 ジュニアオールスターゲーム
 13:00 オールスターゲーム

2勝3敗で4位の花王コスメ小田原 フェニックス

5位 Citrine Ichinomiya(1勝4敗)
 第1節は1勝1敗の五分の星、勝率5割のスタートとなったCitrine Ichinomiyaは第2節の初戦で小泉病院 Blue Arrowsと対戦。「エース」松本菜摘が好投したが、初回の1点が重くのしかかり、散発4安打の完封負け。1点に泣き、続く「首位」靜甲との一戦も0-2と得点を挙げることができず……最終戦の花王コスメ小田原 フェニックス戦も0-1の完封で敗れ、今節勝ち星なしの3連敗。5位まで順位を落としてしまった。
 投手陣は「エース」松本菜摘を中心に1点台の防御率(防御率1.91/サファイアセクション4位)で踏ん張っているものの、チーム打率2割(サファイアセクション5位)と打線が振るわず、5試合でわずか4得点では勝機を見出すことは難しい。打線の「奮起」が今後のチーム立て直しのカギとなる。
 打線は「水物」とよくいわれるが、別セクションのプラチナセクションと対戦することが何かの「キッカケ」となることもある。心機一転、気分一新、「交流節」に臨むことで「連敗」を脱すれば……光明も見えてくるはずである。
 厚木SCと「同率」で並び、「直接対決」の勝敗(3-2で勝利)により、「5位」となったことで「交流節」での対戦相手も変わってくる。それがどちらに転ぶか……その戦いに注目しよう!
【交流節】試合スケジュール
・7月1日(金)
 10:00 対 YKK(プラチナセクション4位)
 15:00 対 MORI ALL WAVE KANOYA(サファイアセクション2位)
・7月2日(土)
 10:00 対 ルネス紅葉スポーツ柔整専門学校(プラチナセクション6位)
・7月3日(日)
 10:30 ジュニアオールスターゲーム
 13:00 オールスターゲーム

今節3連敗で1勝4敗の5位と苦しむCitrine Ichinomiya

6位 厚木SC(1勝4敗)
 第1節「連敗」スタートとなった厚木SCは、「ホーム」開催の第2節、初戦で「開幕連勝」の好スタートを切った平林金属 Peachblossomsと対戦。15-4で大勝し、「ホーム」で逆襲開始かと思われた。しかし……続く花王コスメ小田原 フェニックス戦では初戦で15安打15得点の猛攻を見せた打線が完全に沈黙。0-1の完封負けを喫し、最終戦の小泉病院 Blue Arrowsとの対戦は。延長9回に及ぶ「死闘」を演じたものの、あと一歩及ばず……6-7の惜敗。1勝4敗でCitrine Ichinomiyaと「同率」で並んだが、「直接対決」での結果(2-3で敗戦)が響き、6位となった。ただ……この結果もどちらに転ぶかはわからない。順位によって「交流節」の対戦相手が変わることが、むしろ「好結果」に結びつく可能性もある。
 中澤萌、小森美咲で回す投手陣が踏ん張り、打撃ランキング3位、4割6分7厘のハイアベレージを残している小森真央が打線を引っ張っていくことができれば、4敗中3敗が「1点差負け」であることを考えれば、ちょっとしたことでその結果、白・黒ひっくり返ったとしても不思議ではない。試合内容は決して悪くないだけに……後半戦の巻き返しを期待したい。
【交流節】試合スケジュール
・7月1日(金)
 10:00 対 VONDS市原(プラチナセクション3位)
 15:00 対 ペヤング(プラチナセクション5位)
・7月2日(土)
 10:00 対 大和電機工業(プラチナセクション1位
・7月3日(日)
 10:30 ジュニアオールスターゲーム
 13:00 オールスターゲーム

「ホーム」で今シーズン初勝利を挙げたものの……1勝4敗で6位の厚木SC


pc