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[2023年08月30日] 第56回日本女子ソフトボールリーグ 交流節総括・第3節展望 〈※プラチナセクション編〉

 第56回日本女子ソフトボールリーグ
 交流節総括・第3節展望
〈※プラチナセクション編〉


 来る9月2日(土)・3日(日)、「第56回日本女子ソフトボールリーグ」第3節プラチナセクションが鹿児島県鹿屋市・平和公園野球場を会場に開催される。
 ここでは6月30日(金)~7月3日(月)(※悪天候のため、2日間順延)、富山県富山市・岩瀬スポーツ公園ソフトボール広場で開催された「交流節」(「プラチナセクション」「サファイアセクション」両セクションのチームがセクションの枠を超え、対戦。第2節までの順位に基づき、「プラチナセクション」1位、3位、5位のチームは「サファイアセクション」2位、4位、6位のチームと対戦し、「プラチナセクション」2位、4位、6位のチームは「サファイアセクション」1位、3位、5位のチームと対戦。各チーム、日頃対戦のない「別セクション」のチームと3試合対戦する予定であったが、悪天候により2日目(7月1日/土)実施予定であった9試合が中止・順延となり、「予備節」として10月17日(火)・18日(水)、静岡県伊豆市・天城ふるさと広場野球場等で実施予定)の戦いをふり返り、「第3節」での見どころ等を展望してみたい。
※「交流節」プラチナセクションのチームの動画はこちら





〈首位〉7勝0敗
VONDS市原


※交流節終了時点チーム成績
チーム防御率   1.40(1位)
奪三振 36(2位)
総失点 13(1位)
チーム打率 2割3分3厘(5位)
総得点 30(3位)
総本塁打 2(3位)
総失策 5(2位)
守備率 0.976(2位)
※( )内数字は「プラチナセクション」6チームでの順位を示す
 「プラチナセクション」開幕から無傷の5連勝と破竹の快進撃。開幕ダッシュに成功し、「プラチナセクション」単独首位で「交流節」に臨んだVONDS市原。
 「交流節」では初戦で「サファイアセクション」2位・小泉病院 Blue Arrowsと対戦。0-0で迎えた5回表、安打、野選等で一死二・三塁のチャンスをつかむと、鈴木真由子がスクイズを決め、これに相手守備の乱れも絡み、2点を先制。続く6回表にも安打、盗塁で無死二塁とし、二死後、鈴木真由子が右中間を深々と破る適時三塁打を放ち、ダメ押しの3点目。投げては、先発・渡邉双葉が7回二死まで一人の走者も許さぬ「パーフェクトピッチング」。あと一人……というところで安打を許し、大記録の達成はならなかったが、見事なピッチングで完封。3-0で勝利を収めた。
 ダブルヘッダーとなった第2戦も同4位・Citrine Ichinomiyaと息詰まる投手戦を展開。両チーム無得点で迎えた5回裏、死球、バント安打、犠打で一死二・三塁とし、9番・石井愛華がヒットエンドランを決め、この1点が決勝点となり、「エース」高田香が最少得点差を守り切る完封勝利。1-0の投手戦を制し、「交流節」も2試合連続の完封で連勝。開幕からの連勝を「7」に伸ばし、「プラチナセクション」単独首位に立ち、「独走態勢」に入りつつある。

 「第3節」では、初戦で3位・大和電機工業(4勝3敗)、第2戦で4位・厚木SC(3勝3敗)と対戦する。
 初戦の相手となる大和電機工業は7月22日(土)・23日(日)に鹿児島県南九州市で開催された「第63回全日本実業団女子選手権大会」で優勝を飾っており、調子も上がってきている。
 第2戦の厚木SCも7月15日(土)~17日(月・祝)に香川県坂出市で開催された「第44回全日本クラブ女子選手権大会」で優勝したMORI ALL WAVE KANOYAと準々決勝で対戦し、0-1で敗れたものの、緊迫の投手戦を演じており、いずれの対戦も「全勝」で首位を走るVONDS市原といえども決して簡単な試合にはならないだろう。
 逆に、VONDS市原は同大会で初戦となった2回戦で日本リーグ所属チーム以外のチーム(福井フェニックス/福井)に3-6で敗れている。チームが好調なときほど、ちょっとした躓きから歯車が狂い、ガタガタッと調子を崩してしまうケースもある。これまでも僅差のクロスゲームをモノにし、連勝を続けてきた「タフなチーム」なだけに心配はいらないと思うが…。大和電機工業との初戦がまずは大きな「ヤマ」となり、この第3節を乗り切れば「首位の座」は盤石となり、ここで「連敗」を喫するようなことがあると「独走態勢」から一転、「混戦状態」に引きずり込まれる可能性もある。どちらにしてもVONDS市原にとって、この「第3節」が正念場となる。

第3節試合予定
9月2日(土) 対 大和電機工業(10:00試合開始予定)
9月3日(日) 対 厚木SC(12:30試合開始予定)
 

7戦全勝で単独首位に立つVONDS市原


〈2位〉5勝2敗
MORI ALL WAVE KANOYA


※交流節終了時点チーム成績
チーム防御率   1.41(2位)
奪三振 45(1位)
総失点 22(3位)
チーム打率 3割4分9厘(1位)
総得点 45(1位)
総本塁打 5(2位)
総失策 8(6位)
守備率 0.962(6位)
※( )内数字は「プラチナセクション」6チームでの順位を示す
 第2節まで4勝1敗、「プラチナセクション」2位のMORI ALL WAVE KANOYAは、「交流節」では、初戦で「サファイアセクション」3位・YKK、第2戦で同5位・平林金属 Peachblossomsと対戦した。
 YKK戦では「エース」中野花菜がYKK打線を抑え込み、「ノーヒット・ノーラン」を達成する快投。3-0で快勝し、ダブルヘッダーとなった続く平林金属 Peachblossoms戦で「連勝」を狙ったが……3回表に3点を先制しながら、その裏、第2節でも各試合のターニングポイントで痛打を浴び、苦戦を強いられ、大事な試合を落とす……といった巡り合わせとなってしまった左腕・竹原由菜が守備の乱れから満塁のピンチを招き、満塁の走者を一掃する三塁打を浴び、同点に……。この「交流節」の初戦で「ノーヒット・ノーラン」を達成。失点0・防御率0.00、チームの全勝ち星にあたる「5勝」を挙げている「エース」中野花菜にすべてを托したが、延長タイブレークの末、開幕から30イニング目の「初失点」がサヨナラ負けとなり、3-4の惜敗。痛い星を落とし、「首位」VONDS市原に「2勝差」をつけられてしまった。

 7月15日(土)~17日(月・祝)に香川県坂出市で開催された「第44回全日本クラブ女子選手権大会」で「連覇」を飾り、このところ節目・節目で「苦境」に立たされることの多かった竹原由菜が大会MVP、「最優秀選手賞」を受賞。第3節は「ホーム」鹿児島県鹿屋市での開催と「明るい材料」は多く、首位奪還へ向け「明るい兆し」は見えてきている。
 一方、第2節、交流節と大事な場面で守備のミスが出て、それが失点に結びつき、致命傷となる……といったケースも目につく。投打の数字、これまでの成績を見る限り、むしろ「首位」に立っていないことが不思議な数字であり、他チームを圧倒していたとしてもおかしくはない。それだけに「失策」「守備率」の数字も嘘をつかず、その「唯一のウイークポイント」が現在の順位、チーム成績に結びついてしまっている……ともいえるだろう。
 まずはこの「第3節」、「ホーム」での大声援を力に、後半戦の巻き返し、「逆襲」につなげたいところだ。初戦で同率4位・厚木SC(3勝3敗)、第2戦で最下位・ペヤング(1勝5敗)との対戦が組まれているが、厚木SCは前述の「第44回全日本クラブ女子選手権大会」の準々決勝で対戦。勝ったとはいえ、1-0と苦しめられている。ペヤングは「交流節」で「サファイアセクション」全勝で首位を走っていた靜甲を相手に大金星を挙げ、今シーズン初勝利を手にする「大番狂わせ」「ジャイアントキリング」を演じている。ただ……ここで「連勝」できないようだと「首位奪還」、悲願の「日本リーグ制覇」の大目標の達成等、覚束ない。「勝つ」ことによって自らの道を切り拓いていくしかない。

第3節試合予定
9月2日(土) 対 厚木SC(15:00試合開始予定)
9月3日(日) 対 ペヤング(15:00試合開始予定)

5勝2敗で2位。首位の座奪還をめざすMORI ALL WAVE KANOYA


〈3位〉4勝3敗
大和電機工業


※交流節終了時点チーム成績
チーム防御率   3.43(4位)
奪三振 32(4位)
総失点 26(5位)
チーム打率 3割9厘(2位)
総得点 37(2位)
総本塁打 6(1位)
総失策 4(1位)
守備率 0.979(1位)
※( )内数字は「プラチナセクション」6チームでの順位を示す
 昨シーズンの「覇者」大和電機工業は第2節まで2勝3敗と苦しんでいたが、「交流節」では連勝。初戦は「サファイアセクション」最下位・ルネス紅葉スポーツ柔整専門学校と対戦し、新海雪奈の「グランドスラム」満塁ホームラン等で6-1と圧勝。ダブルヘッダーとなった第2戦、同4位・Citrine Ichinomiyaとの対戦では初回に上原彩瑛、2回裏には堀あかねが「一発」を放ち、7-0と大差をつけ、一方的な試合展開になるかと思われたが、終盤2点差まで追い上げられ、6回裏、決定的な3点を挙げ、事なきを得たが、昨シーズンの「覇者」らしからぬピリッとしない試合内容。それでも4勝3敗と白星を先行させ、7月22日(土)・23日(日)に鹿児島県南九州市で開催された「第63回全日本実業団女子選手権大会」では、見事優勝。チャンスと見れば一気呵成に攻め立てる「大和電機工業らしさ」が戻り、8年ぶりの「頂点」に立ち、「復調気配」を感じさせてくれた。
 打線は「復調」してきているだけに、やはり投手陣の踏ん張りがカギを握る。前述の「全日本実業団女子選手権大会」で優勝に貢献し、大会MVP、「最優秀選手賞」に輝いた「エース」大串都未希、左腕・斉藤未来の出来がチームの浮沈を左右する。

「第3節」では、初戦で開幕から7戦全勝、「無敗」で「プラチナセクション」単独首位に立つVONDS市原との「直接対決」が組まれ、第2戦では同率4位・花王コスメ小田原 フェニックス(3勝3敗)と対戦する。
 VONDS市原との「直接対決」に勝利することができれば、VONDS市原の「独走」気配は一転、「混戦状態」に持ち込むことも可能になる。花王コスメ小田原 フェニックスとは第1節で対戦し、6-0と圧勝。「全日本実業団女子選手権大会」でも準決勝で対戦し、7-0とコールド勝ちしている「相性の良い相手」だけに、初戦に勝利することができれば「連勝」の期待も高まる。上位争いに踏み止まり、「連覇」へ望みをつなぐためにも「絶対に負けられない」戦いが続く。

第3節試合予定
9月2日(土) 対 VONDS市原(10:00試合開始予定)
9月3日(日) 対 花王コスメ小田原 フェニックス(10:00試合開始予定)

4勝3敗で3位の大和電機工業。「連覇」へ……望みをつなげるか!?


〈同率4位〉3勝3敗
花王コスメ小田原 フェニックス


※交流節終了時点チーム成績
チーム防御率   3.76(5位)
奪三振 36(2位)
総失点 25(4位)
チーム打率 2割4分(3位)
総得点 21(4位)
総本塁打 0(4位)
総失策 5(2位)
守備率 0.973(3位)
※( )内数字は「プラチナセクション」6チームでの順位を示す
 花王コスメ小田原 フェニックスは「交流節」を終え、3勝3敗の勝率5割。「交流節」では、初戦で「サファイアセクション」最下位・ルネス紅葉スポーツ柔整専門学校と対戦。二桁10得点を挙げ、10-0と大勝。悪天候のため、小泉病院 Blue Arrows、Citrine Ichinomiyaの2試合が流れてしまい、1試合しか消化できなかった。

 「第3節」では、初戦で最下位・ペヤング(1勝5敗)、第2戦で3位・大和電機工業(4勝3敗)との対戦が組まれている。
 ペヤングは「交流節」で「サファイアセクション」首位を走る靜甲を撃破し、今シーズン「初勝利」を挙げている。第1節の開幕初戦で対戦したときには2-0の完封勝利を収めているが、着実に試合内容を改善させ、投打の数字も上げてきているチームだけに油断は禁物だ。
 大和電機工業も7月22日(土)・23日(日)に鹿児島県南九州市で開催された「第63回全日本実業団女子選手権大会」で優勝を飾る等、復調気配。昨シーズンの日本リーグを制したときのように「チャンス」と見れば、「一気呵成」に攻め、大量得点に結びつける得意の試合展開が戻ってきているだけに厄介な相手だ。前述の「全日本実業団女子選手権大会」では準決勝で対戦し、0-7と屈辱の5回コールド負けを喫している。投手陣が「猛攻の波」に呑まれてしまうようだと勝機は薄くなる。何とかロースコアでの競り合いに持ち込みたいところだ。
 いずれにせよ、ここからどれだけ勝ち星を積み上げられるかで今後の展開が変わってくる。上位争いをかき回すような「存在感」を見せつけてくれることを期待したい。

第3節試合予定
9月2日(土) 対 ペヤング(12:30試合開始予定)
9月3日(土) 対 大和電機工業(10:00試合開始予定)

3勝3敗で同率4位の花王コスメ小田原 フェニックス


〈同率4位〉3勝3敗
厚木SC


※交流節終了時点チーム成績
チーム防御率   2.10(3位)
奪三振 18(5位)
総失点 19(2位)
チーム打率 2割3分6厘(4位)
総得点 18(5位)
総本塁打 0(4位)
総失策 6(3位)
守備率 0.968(4位)
※( )内数字は「プラチナセクション」6チームでの順位を示す
 第1節「連敗」スタートとなった厚木SCは、「ホーム」開催の第2節で昨シーズンの「覇者」大和電機工業に勝利し、嬉しい今シーズン初勝利を挙げ、「交流節」終了時点で3勝3敗の勝率5割。
 「エース」中澤萌が第2節で2勝を挙げ、「交流節」でも「サファイアセクション」5位・平林金属 Peachblossomsを相手に3-2の完投勝利。チームの全勝ち星を挙げる等、奮闘している。7月15日(土)~17日(月・祝)に香川県坂出市で開催された「第44回全日本クラブ女子選手権大会」でも「連覇」を飾ったMORI ALL WAVE KANOYAと準々決勝で対戦し、中澤萌が一歩も譲らぬ投手戦を展開。0-1で敗れはしたものの、その「存在感」を際立たせている。

 「第3節」では、初戦で「ホーム」開催となる、その2位・MORI ALL WAVE KANOYA(5勝2敗)と再戦。第1節の対戦でも結果的には2-6と得点差がついたが、延長タイブレークにもつれ込む「熱戦」を演じている。完全「アウェー」での試合となるが……勝機は必ずあるはず。
 第2戦は開幕から無傷の7連勝、「首位」を快走するVONDS市原と対戦。こちらも第1節の対戦では延長タイブレークの末、3-4で敗れているものの、「互角の試合」を演じている。
 厚木SCがこの「第3節」で連勝を飾るようなことになれば……「プラチナセクション」は一気に「混戦状態」となる可能性もある。

第3節試合予定
9月2日(土) 対 MORI ALL WAVE KANOYA(15:00試合開始予定)
9月3日(日) 対 VONDS市原(12:30試合開始予定)

同じく3勝3敗で同率4位の厚木SC


〈6位〉1勝5敗
ペヤング


※交流節終了時点チーム成績
チーム防御率   3.85(6位)
奪三振 15(6位)
総失点 26(5位)
チーム打率 2割2分9厘(6位)
総得点 10(6位)
総本塁打 0(4位)
総失策 6(4位)
守備率 0.966(5位)
※( )内数字は「プラチナセクション」6チームでの順位を示す
 ペヤングは第2節終了時点で5戦全敗。「プラチナセクション」最下位に沈んでいたが、「交流節」では「サファイアセクション」全勝で首位を走る靜甲を撃破。嬉しい今シーズン「初勝利」を挙げた。
 初回に1点を先制され、4回までノーヒット。反撃の糸口すら見えなかったが……5回表、打線が突如お目覚め。安打で出塁した走者を、2つの内野ゴロの間に三塁まで進めると、小和田栞那が同点打。髙泉小雪も安打で続き、山岸澪衣が逆転の2点二塁打。さらに3番・藤井杏朱にもタイムリーが飛び出し、一挙4点を奪い、試合をひっくり返すと、2回以降立ち直った先発・平山綾乃が追加点を許さず、1失点の完投勝ち。「サファイアセクション」首位・靜甲を倒す「ジャイアントキリング」、大金星を挙げて見せた。
 昨シーズン同時点での成績を比較すると、チーム防御率6.75→3.85、総失点58→26、チーム打率1割4分→2割2分9厘と数字・記録の上でも大幅な向上・改善が見られている。

 「第3節」では、初戦で同率4位・花王コスメ小田原 フェニックス、第2戦で「ホーム」のMORI ALL WAVE KANOYAと対戦する。
 花王コスメ小田原 フェニックスとは第1節の開幕初戦で対戦し、0-2の完封負け。MORI ALL WAVE KANOYAにも同じく第1節で対戦し、2-8で敗れている。ただ……「交流節」で見せてくれた靜甲戦の「ジャイアントキリング」があるだけに、第3節でのペヤングの戦いにも「何かが起こる⁉」予感も……。

第3節試合予定
9月2日(土) 対 花王コスメ小田原 フェニックス(12:30試合開始予定)
9月3日(日) 対 MORI ALL WAVE KANOYA(15:00試合開始予定)

交流節で嬉しい今シーズン初勝利を挙げたペヤング


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