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[2023年11月01日] 第56回日本女子ソフトボールリーグ 「順位決定節」Aブロック展望

 来る11月3日(金・祝)~5日(日)、「第56回日本女子ソフトボールリーグ」順位決定節節が広島県尾道市・尾道市御調ソフトボール球場で開催される。
 この「順位決定節」では、「日本リーグ優勝」を決めるAブロック(プラチナセクション1位・2位、サファイアセクション1位・2位)、5位~8位を決定するBブロック(プラチナセクション3位・4位、サファイアセクション3位・4位)、9位~12位を決定するCブロック(プラチナセクション5位・6位、サファイアセクション5位・6位)、各ブロック4チームが改めて1回総当たりのリーグ戦を実施。そのリーグ戦の順位に基づき、ブロック内1位と2位、3位と4位が「最終順位決定戦」を行う試合方式で今シーズンの「最終順位」が決定される。
 ここでは、プラチナセクション・サファイアセクション、両セクションの1位・2位が「日本リーグ優勝」をかけて争う「Aブロック」の見どころ等を展望してみたい。

※「第56回日本女子ソフトボールリーグ」順位決定節Aブロック展望




 
〈プラチナセクション1位〉11勝2敗
MORI ALL WAVE KANOYA
 
※「第56回日本女子ソフトボールリーグ」プラチナセクション チーム成績
チーム防御率:1.37(1位)
奪三振:88(1位)
総失点:30(2位)
チーム打率:3割7分2厘(1位)
総得点:83(1位)
総本塁打:13(1位)
総失策:11(4位)
守備率:0.972(4位)
※( )内数字は「プラチナセクション」6チームでの順位を示す

 「第2節」VONDS市原との「全勝対決」に自らの守備のミスもあり、3-5で敗れ、「交流節」でも平林金属 Peachblossoms戦を延長タイブレークの末、3-4のサヨナラで落とす等、終始、首位を走るVONDS市原を「追いかける展開」となったが、「第4節」そのVONDS市原との「直接対決」に6-1で圧勝! 初回、上村麗、福元彩未、竹原由菜の3連打と押し出しの四球、「キャプテン」領家妃奈の左犠飛、「ベテラン」谷川まきのタイムリー等、鮮やかな先制攻撃で3点を先取し、4回裏には、上村麗のタイムリー、5回裏には永山愛実の右犠飛、6回裏には竹原由菜の右犠飛で小刻みに加点。11安打で6点を奪い、このリードを「エース」中野花菜、「投打二刀流」の左腕・竹原由菜とつなぐ投手リレーでVONDS市原の反撃を1点に抑え、6-1で勝利を収め、ついに「首位」VONDS市原の「背中」をとらえ、「同率首位」に並んだ。
 その後は、取りこぼすことなく勝利を積み重ね、通算成績11勝2敗でレギュラーシーズンの全日程を終了。VONDS市原と「同率」のまま、シーズン終了を迎えたが、「直接対決」における「得失点差」でかわし、「プラチナセクション」1位での「順位決定節」Aブロック進出を決めた。
 
 「エース」中野花菜が8勝(1敗)を挙げ、防御率0.32と安定感抜群。「投打二刀流」の左腕・竹原由菜も3勝(1敗)を挙げ、防御率1.98と「左右の二枚看板」が揃う投手陣は強力。チーム防御率1.37と他の追随を許さぬ「断トツ」の数字・成績を残している。
 打線もプラチナセクションの打撃ランキング1~3位を独占。打率5割6分3厘・本塁打6・打点16で「プラチナセクション」二冠王(打率・本塁打はトップ、打点は1打点差で2位)に輝いた上村麗を筆頭に、打率5割ちょうどで打撃ランキング2位、本塁打2・打点12の「キャプテン」領家妃奈、打率4割8分6厘で打撃ランキング3位、本塁打2、打点14の「投打二刀流」竹原由菜が中軸を固める打線は破壊力抜群。チーム打率3割7分2厘、チーム総本塁打13本、総得点83はいずれも「プラチナセクション」1位の数字。数字・成績だけを見れば、もっと楽に、他チームを引き離して、首位を独走していてもおかしくなかった。
 昨シーズンの「順位決定節」でも、3チームが「同率」に並び、「得失点差」に泣き、「優勝決定戦」進出を逃しているだけに、今シーズンこそ、この「数字」にふさわしい「強さ」を見せつけ、「日本リーグ制覇」を成し遂げたいところだ。

順位決定節・ブロック
MORI ALL WAVE KANOYA試合予定
 
11月3日(金・祝)
対 小泉病院 Blue Arrows(サファイアセクション2位/10:00試合開始予定)
11月4日(土)
対 靜甲(サファイアセクション1位/10:00試合開始予定)
対 VONDS市原(プラチナセクション2位/12:30試合開始予定)
11月5日(日)
【3位決定戦】ブロック3位 対 ブロック4位(10:00試合開始予定)
【優勝決定戦】ブロック1位 対 ブロック2位(12:30試合開始予定)
 

「プラチナセクション」1位・MORI ALL WAVE KANOYA



〈サファイアセクション1位〉9勝4敗
靜甲
 
※「第56回日本女子ソフトボールリーグ」サファイアセクション チーム成績
チーム防御率:1.67(1位)
奪三振:68(1位)
総失点:27(1位)
チーム打率:2割5分4厘(5位)
総得点:49(4位)
総本塁打:3(4位)
総失策:5(1位)
守備率:0.988(2位)
※( )内数字は「サファイアセクション」6チームでの順位を示す
 
 靜甲は開幕から「ホーム」開催となった「第2節」まで無傷の5連勝を飾り、「サファイアセクション」の首位を快走。順調な足取りを刻んでいたが、「交流節」で「プラチナセクション」最下位のペヤングに「不覚」を取り、今シーズン初黒星を喫すると、「連覇」を狙って臨んだ「第63回全日本実業団女子選手権大会」(7月22日・23日、鹿児島県南九州市で開催)でもベスト4で敗退する等、その「勢い」に陰りが見られた。
 後半戦再開後も、ペースは上がらず、「第3節」はYKKと延長12回に及ぶ「死闘」を演じた末に6-7で敗れ、1勝1敗。「第4節」も小泉病院 Blue Arrowsに0-2の完封で敗れ、1勝1敗。「予備節」でも「順位決定節」の前哨戦となった「プラチナセクション」1位のMORI ALL WAVE KANOYAとの対戦で0-5で完敗を喫する等、1勝1敗。通算成績9勝4敗で「サファイアセクション」首位の座を最後まで守りはしたが、後半戦の戦いぶりを見ると「不安要素」の方が多く感じられてしまう。
 
 チームを支える豊田彩乃、山本すみれの「Wエース」を中心に、守りを固め、ロースコアでの競り合いをモノにしていくスタイルだが、後半戦はその「Wエース」が攻略されるケースも多く、相手に先行されてしまうと、それを跳ね返すだけの攻撃力がなく、そのままズルズルと押し切られてしまう試合展開が目立った。
 「順位決定節」では、「サファイアセクション」投手ランキング1位(防御率1.34・5勝1敗・奪三振48)の山本すみれを中心としたローテーションが組まれることが予想されるが、3日間で4試合、戦わなくてはならないことを考えると、豊田彩乃(防御率2.31・4勝2敗・奪三振13)の存在もやはり大きなものがあり、靜甲が「日本リーグ制覇」を成し遂げるためには自慢の「Wエース」がフル回転、大活躍を見せる必要がある。
 課題はやはり「打線」か!? 「サファイアセクション」打撃ランキング3位・打率4割2分1厘・本塁打2・打点11の「主砲」井上葉菜が打線の中心だが、その井上葉菜が抑え込まれてしまうと、ガクッと得点力が落ちてしまう印象があり、井上葉菜の前に、どれだけ走者を出し、チャンスを演出できるかがカギとなりそうだ。
 打率3割5分9厘で「サファイアセクション」打撃ランキング7位の山本佳世、打率3割(3割8厘)をキープした「キャプテン」三浦万季、本塁打1本を放ち、8打点を挙げている藤瀬さくら、チームトップの5盗塁を記録している俊足・田村ひかりらの「奮起」に期待したいところだ。
 昨シーズン、「優勝決定戦」まで駒を進めながら延長タイブレークの末に敗れ、「あと一歩」のところで優勝を逃してしまった靜甲。その「忘れ物」を取りに……チーム一丸、「熱く」燃える!

順位決定節・ブロック
靜甲 試合予定
 
11月3日(金・祝)
対 VONDS市原(プラチナセクション2位/12:30試合開始予定)
11月4日(土)
対 MORI ALL WAVE KANOYA(プラチナセクション1位/10:00試合開始予定)
対 小泉病院 Blue Arrows(サファイアセクション2位/15:00試合開始予定)
11月5日(日)
【3位決定戦】ブロック3位 対 ブロック4位(10:00試合開始予定)
【優勝決定戦】ブロック1位 対 ブロック2位(12:30試合開始予定)
 

「サファイアセクション」1位・靜甲
 


〈プラチナセクション2位〉11勝2敗
VONDS市原
 
※「第56回日本女子ソフトボールリーグ」プラチナセクション チーム成績
チーム防御率:1.87(2位)
奪三振:77(2位)
総失点:27(1位)
チーム打率:2割6分4厘(3位)
総得点:59(3位)
総本塁打:5(3位)
総失策:8(2位)
守備率:0.977(2位)
※( )内数字は「プラチナセクション」6チームでの順位を示す
 
 VONDS市原は開幕から「交流節」まで7戦全勝と突っ走り、「プラチナセクション」首位を快走。破竹の快進撃を見せた。「第1節」は「開幕戦」となった厚木SC戦を延長タイブレークの末、4-3で競り勝つと、昨シーズンの「覇者」大和電機工業戦と対戦。「雨中の大激戦」となり、5回終了時点で6-6の同点。これが降雨ノーゲームとなり、翌日、「再試合」となって3-1で勝利したことが、一つの「ターニングポイント」となった。
 続く「第2節」は「エース格」の高田香、渡邉双葉両投手が相次いで「戦線離脱」を余儀なくされる中、山本優花が3勝を挙げる活躍。チームの「救世主」的存在となり、「優勝候補」の大本命・MORI ALL WAVE KANPYAを5-3で破る等、開幕からの「連勝」を5に伸ばした。
 「交流節」では、「サファイアセクション」2位の小泉病院 Blue Arrowsに3-0の完封勝利。同4位のCitrine Ichinomiyaにも1-0の最少得点差で勝利を収め、2試合連続の完封で開幕からの「連勝」を7に伸ばし、「プラチナセクション」1位の座を守った。
 しかし……「第3節」で昨シーズンの「覇者」大和電機工業戦で上原彩瑛に3打席連続本塁打を浴びる等、2-4で敗戦。今シーズン初黒星を喫し、「第3節」終了時点で8勝1敗。単独首位の座は守ったものの、続く「第4節」でのMORI ALL WAVE KANOYAとの「首位攻防戦」に1-6で大敗。通算成績10勝2敗で「同率首位」に並ばれてしまった。
 レギュラーシーズン最終戦となった予備節でのルネス紅葉スポーツ柔整専門学校戦は11-0で大勝し、通算成績を11勝2敗まで伸ばしたが、MORI ALL WAVE KANOYAも最終戦の靜甲戦に5―0で快勝し、「相星」のまま、レギュラーシーズンを終了。「得失点差」での争いの末、「プラチナセクション」2位に甘んじる結果となった。
 
 投手陣は、高田香が4勝0敗・防御率1.45・奪三振34、渡邉双葉が4勝2敗・防御率1.89・奪三振33、山本優花が3勝0敗・防御率2.33・奪三振10、チーム防御率1.87と「プラチナセクション」2位の安定感溢れる数字を残している。攻撃面では突出した数字がない(チーム打率2割6分4厘、総得点59、チーム総本塁打5はいずれもプラチナセクション3位の数字)だけに、投手陣の踏ん張りがチームにとっての「生命線」となりそうだ。
 打線では、打率4割8分5厘で「プラチナセクション」打撃ランキング4位の小野寺萌(本塁打1・打点9)、打率3割4分5厘・打点4の石井愛華、打率3割4分1厘・本塁打1・打点7の「主砲」小林かな実の活躍に期待か。投手力は安定しているだけに「打線の援護」が日本リーグ「制覇」へのカギとなる。

順位決定節・ブロック
VONDS市原 試合予定
 
11月3日(金・祝)
対 靜甲(サファイアセクション1位/12:30試合開始予定)
対 小泉病院 Blue Arrows(サファイアセクション2位/15:00試合開始予定)
11月4日(土)
対 MORI ALL WAVE KANOYA(プラチナセクション1位/12:30試合開始予定)
11月5日(日)
【3位決定戦】ブロック3位 対 ブロック4位(10:00試合開始予定)
【優勝決定戦】ブロック1位 対 ブロック2位(12:30試合開始予定)
 

「プラチナセクション」2位・VONDS市原



〈サファイアセクション2位〉8勝5敗 
小泉病院 Blue Arrows
 
※「第56回日本女子ソフトボールリーグ」サファイアセクション チーム成績
チーム防御率:2.44(2位)
奪三振:43(3位)
総失点:42(2位)
チーム打率:2割6分8厘(3位)
総得点:57(2位)
総本塁打:4(3位)
総失策:9(2位)
守備率:0.979(2位)
※( )内数字は「サファイアセクション」6チームでの順位を示す
 
 小泉病院 Blue Arrowsは、「第1節」1勝1敗、「第2節」でも首位・靜甲に延長8回タイブレークの末、2-3で敗れる等、「第2節」終了時点で3勝2敗と一進一退の状況。「交流節」でも「プラチナセクション」首位・VONDS市原に0-3の完封負けを喫し、3勝3敗の勝率5割と、その状況を打破できないまま、前半戦を折り返した。
 後半戦「再開」となった「第3節」で、「勝負強さ」を見せ、まず同じく3勝3敗の「同率」で並んでいたYKKとの延長タイブレークにもつれ込む「熱戦」に5-3と競り勝ち、Citrine Ichinomiyaとのクロスゲームも2-1で制し、「連勝」。通算成績5勝3敗で「サファイアセクション」2位に浮上。「第4節」では首位・靜甲を2-0の完封で破る等、3連勝。通算成績8勝3敗で「同率首位」に並ぶ躍進を見せた。
 予備節で「連敗」を喫し、通算成績8勝5敗と星を伸ばせず、YKKに「同率」で並ばれてしまったが、「得失点差」の争いを辛くも制し、「サファイアセクション」2位の座を確保。「順位決定節」Aブロック進出を決めた。
 
 投手陣の中心は原田悠。「サファイアセクション」投手ランキング2位の防御率1.35(5勝4敗・奪三振29)の成績を残し、その「右腕」の出来がチームの浮沈を左右する。
 打線では、立川夏波が「サファイアセクション」打撃ランキング2位の打率4割2分4厘のハイアベレージを残しており、「キャプテン」佐々木彩葉も打率3割8分9厘で打撃ランキング6位に食い込み、井田芽衣(打率3割3分3厘・本塁打1・打点9)、穐山奈央(打率3割2分3厘・打点3)も打撃好調、「エース」原田悠をしっかりと援護したいところだ。
 「第3節」「第4節」を5連勝で駆け抜けた「勝負強さ」。すでに「サファイアセクション」2位以上が確定していたとはいえ、「予備節」であっさり「連敗」を喫した「脆さ」。どちらが小泉病院 Blue Arrowsの「本当の姿」なのか……。この「最終決戦」となる「順位決定節」でその「真価」が問われることになる。

順位決定節・ブロック
小泉病院 Blue Arrows 試合予定
 
11月3日(金・祝)
対 MORI ALL WAVE KANOYA(プラチナセクション1位/10:00試合開始予定)
対 VONDS市原(プラチナセクション2位/15:00試合開始予定)
11月4日(土)
対 靜甲(サファイアセクション1位/15:00試合開始予定)
11月5日(日)
【3位決定戦】ブロック3位 対 ブロック4位(10:00試合開始予定)
【優勝決定戦】ブロック1位 対 ブロック2位(12:30試合開始予定)
 

「サファイアセクション」2位・小泉病院 Blue Arrows


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